就労継続支援(就労移行支援や就労継続支援A型・B型など)の事業所を運営していると、日々の支援記録の作成や、国保連(国民健康保険団体連合会。障害福祉サービスの給付費を審査・支払いする団体です)への毎月の請求に、多くの時間を取られてしまうものです。紙やExcelでの管理を続けている事業所も少なくありませんが、「同じ内容を何度も書き写している」「令和8年度の報酬改定についていくのが大変」といった悩みを抱えているケースも多いのではないでしょうか。
こうした負担を軽くしてくれるのが、就労継続支援の業務システムです。ただ、種類が多く「どれを選べばいいのかわからない」と感じる方も多いはず。そこでこの記事では、業務システムを導入するメリットから、目的別のシステム比較、失敗しない選び方までをわかりやすく整理してご紹介します。自事業所に合った1本を見つけるための材料として、ぜひ最後までお役立てください。
Q. 就労継続支援に業務システムを導入するメリットは?
A. 記録から国保連請求・工賃計算までを一度の入力でつなげ、二重入力や転記ミスを減らせます。職員間の情報共有もスマホやタブレットで同時に反映。令和8年度報酬改定などの制度変更にもシステム側の計算ロジックが対応します。
Q. 就労継続支援の業務システムはどう選べばいい?
A. まず自事業所のサービス種別に対応しているかを確認し、次に請求機能の有無、初期費用や契約期間を含む料金体系、サポート体制の順で絞り込みます。無料体験で現場の職員が実際の使用感を試すことが失敗を防ぐ鍵です。
Q. A型とB型でシステムに求める機能はどう違う?
A. A型は雇用契約に基づき最低賃金を踏まえた給与計算・勤怠管理が必須。B型は雇用契約がなく、生産活動の収支から工賃の原資を算定し、平均工賃月額の集計まで行える機能が重要になります。
就労継続支援に業務システムを導入する3つのメリット

就労継続支援の業務システムを導入すると、日々の事務作業だけでなく、事業所全体の運営そのものが変わってきます。具体的なメリットは、大きく次の3つです。
- 記録・請求業務の負担が大きく減る
- 職員間の情報共有がスムーズになる
- 制度改定・監査対応への対応力が上がる
それぞれ、どのような仕組みで負担が軽くなるのかを見ていきましょう。
記録・請求業務の負担が大きく減る
紙やExcelで運営していると、同じ内容をあちこちに書き写す「二重入力」がどうしても発生します。日々の支援記録を紙に書き、月末にその内容をExcelへ転記し、さらに請求データへ打ち直す——この工程のたびに、書き写し間違いや入力漏れが起こりやすくなるのが実情です。
業務システムを使えば、こうした手間を大きく減らせます。日々の記録を一度入力すれば、そのデータがそのまま請求のもとになるため、あらためて別の書類へ書き写す必要がありません。つまり、記録とシステムへの二重入力が発生しない仕組みです。国保連への請求データも、画面上から直接送信(伝送)できるものが多く、「Excelで作った請求データを別の伝送ソフトに移し替える」といった転記の工程そのものがなくなります。
工賃(就労継続支援B型などで、利用者が生産活動を通じて得た収益から支払うお金のこと)の計算も、システムの得意分野です。日々の出席状況や作業実績を入力しておけば、利用者ごとの工賃が自動で計算されるため、月末にまとめて手計算する負担を抑えられます。記録から請求・工賃計算までを一つの流れでつなげることが、事務作業の効率化に直結するというわけです。
職員間の情報共有がスムーズになる
紙の申し送りノートで情報を回している事業所では、「そもそもノートを見ていなかった」「シフトが違う職員に伝わっていなかった」といった伝達漏れが起こりがちです。人の目と手だけに頼る運用には、どうしても限界があります。
業務システムを導入すると、こうした課題を機能そのもので解決できます。ある職員が入力した申し送りの内容は、全職員のスマートフォンやタブレットに同時に反映されるため、シフトや勤務場所が違っても同じ情報を共有可能です。システムによっては、その申し送りを誰が読んだか(既読・未読)を確認できるものもあり、「伝えたつもりが伝わっていなかった」という食い違いを防げます。
この仕組みは、複数の事業所を運営している場合にも力を発揮します。拠点ごとに情報がバラバラに管理されるのではなく、どの事業所からでも同じ利用者情報や記録にアクセスできるため、事業所をまたいだ対応や引き継ぎもスムーズ。現場に居ながらにして必要な情報を確認できる点が、日々の支援を支えます。
制度改定・監査対応への対応力が上がる
障害福祉の制度は、数年ごとの報酬改定によって加算の条件や計算方法が見直されます。紙やExcelで運営していると、改定のたびに単位数(サービスごとに定められた報酬の点数のこと)の表や計算式を自分たちで手直しする必要があり、対応が後手に回りやすいのが実情です。
たとえば令和8年6月に施行された臨時の報酬改定では、就労継続支援B型の基本報酬区分(平均工賃月額に応じて報酬が変わる区分)の下限が3,000円引き上げられました。急に区分が下がる事業所の負担をやわらげるため、中間の区分も新たに設けられています。こうした変更に紙運用のまま対応しようとすると、「自事業所がどの区分に当てはまるのか」を計算し直すだけでも大きな手間がかかります。
業務システムであれば、改定の内容がシステム側の計算ロジックや帳票(請求書や各種書類の様式)のフォーマットに反映されます。そのため、事業所側で計算式を一から見直したり、書類のひな型を作り直したりする必要がありません。日々の記録と請求データがきちんとつながっていれば、実地指導や監査で提出を求められる書類もすぐに用意でき、いざというときの備えにもなります。制度の変化に振り回されず、支援そのものに集中できる環境を整えられる点は、システム導入の大きな価値と言えるでしょう。
就労継続支援の業務システムに必要な機能一覧
就労継続支援の業務システムと一口に言っても、備わっている機能はサービスによってさまざまです。ただ、事業所の運営に欠かせない機能は、大きく「記録・請求」「利用者・計画」「勤怠・シフト・送迎」の3つに整理できます。まずは全体像を表で確認してみましょう。
| 機能カテゴリ | 主な機能例 | この機能で解決できること |
|---|---|---|
| 記録・請求 | 支援記録の入力、国保連請求データの伝送、工賃・生産活動収支の計算 | 入力した記録がそのまま請求データのもとになり、転記の工程自体がなくなる |
| 利用者・計画 | 利用者基本情報、個別支援計画、モニタリング管理 | 計画書の更新期限が近づくとアラートが表示され、更新漏れを防げる |
| 勤怠・シフト・送迎 | 職員の勤怠管理、シフト作成、送迎スケジュール管理 | 勤怠データとシフト表が同じ画面上で連動して更新される |
それぞれのカテゴリで、どのような機能がどう役立つのかを詳しく見ていきます。
記録・請求に関する機能
まず、事業所の事務作業の中心となるのが記録と請求です。この2つは、業務システムを選ぶうえで最も重視したい部分と言えます。
支援記録の入力機能では、利用者に提供したサービスの内容や、その日の様子を記録します。スマートフォンやタブレットからその場で入力できるものが多く、手が空いたときにサッと記入できるのが便利なところ。この記録が、後の請求業務の土台になります。
国保連への請求データを送る「伝送」機能も欠かせません。障害福祉サービスの給付費は、原則として9割を国保連経由で、残りの1割を利用者に請求する仕組みです。この請求データを、システムの画面から直接送信できれば、別の伝送ソフトへデータを移し替える手間がかかりません。
そして就労継続支援B型で特に重要になるのが、工賃と生産活動収支の計算機能です。工賃は、製品の製造・販売や請負作業などの生産活動で得た収益(売上から経費を引いたもの)から支払う必要があり、計算のもとになる数字が日々の活動と結びついています。日々の出席状況や作業実績を入力しておけば、こうした計算をシステムが自動で処理してくれるため、月末の集計作業が大きく軽くなります。
利用者・計画に関する機能
次に、利用者の情報や支援の計画を管理する機能です。日々の支援の質を保つうえで、こちらも重要な役割を担います。
利用者基本情報の管理機能では、氏名や年齢、家族構成といったプロフィールに加え、受給者証(障害福祉サービスを利用するために市区町村が交付する証明書)の情報や口座情報などをまとめて管理できます。あちこちのファイルを探し回らなくても、一か所で利用者の情報を確認できるのが利点です。
個別支援計画(利用者一人ひとりに合わせた支援の方針をまとめた書類)や、その進み具合を確認するモニタリングの管理機能も、多くのシステムに備わっています。過去のデータを引用して計画書を作れたり、計画とモニタリング表が連動して更新されたりと、書類作成の負担を減らす工夫が盛り込まれているものも多いです。
特にありがたいのが、更新期限のお知らせ機能。個別支援計画や受給者証には更新の期限がありますが、期限が近づくとシステムがアラートで知らせてくれるため、うっかり更新を忘れてしまうミスを防げます。
勤怠・シフト・送迎に関する機能
最後に、職員の働き方や利用者の送り迎えを支える機能です。運営面をまるごと効率化したい場合に、あると心強いカテゴリになります。
職員の勤怠管理機能では、出勤・退勤の時間を記録し、勤務状況をまとめて把握できます。シフト作成機能と組み合わされているものなら、勤怠のデータとシフト表が同じ画面上で連動して更新されるため、「実際の勤務とシフトがずれてしまう」といった食い違いを防ぎやすくなります。
送迎スケジュールの管理機能も、通所型の事業所では役立つ場面が多い機能です。誰をどの車で送迎するか、どのルートで回るかといった予定を管理・共有でき、送迎にまつわる調整の手間を軽くしてくれます。
ここまで見てきた機能は、すべてが一つのシステムに入っているとは限りません。だからこそ、自事業所にとってどの機能が必要かを見極めることが、システム選びの第一歩になります。次の章では、目的別にどう選べばよいかを整理していきます。
就労継続支援A型・B型・移行支援・定着支援でシステムに求められる機能は違う

ひとくちに就労支援と言っても、サービスの種類によって業務の中身は大きく異なります。当然、業務システムに求められる機能も変わってきます。ここでは、代表的な4つのサービスごとに、どんな機能が必要になるのかを見ていきましょう。
- 就労継続支援A型:雇用契約に基づく給与計算・勤怠管理
- 就労継続支援B型:工賃計算・生産活動収支の管理
- 就労移行支援:訓練記録・利用期間の管理・就職実績の記録
- 就労定着支援:就職後の定着状況を毎月モニタリングする機能
自事業所が提供するサービスに照らし合わせながら、確認してみてください。
就労継続支援A型に必要な機能
就労継続支援A型の大きな特徴は、利用者と雇用契約を結ぶ点にあります。つまり、利用者は「働く人(従業員)」という立場でもあるため、一般企業と同じように給与を支払う仕組みが必要です。
ここで重要になるのが、最低賃金の保障です。A型は雇用契約に基づくサービスなので、その地域で定められた最低賃金以上の給与を支払わなければなりません。そのため、勤務時間をきちんと記録し、それをもとに最低賃金を踏まえた給与を計算する機能が欠かせません。勤怠管理と給与計算がつながっていれば、日々の勤務データからそのまま給与額を割り出せるため、計算の手間とミスを抑えられます。
また、雇用契約を結ぶということは、事業所によっては雇用保険や社会保険に関するデータの管理が必要になる場合もあります。もちろん、障害福祉サービスである以上、B型と同じく国保連への請求機能も必要です。A型では、この「福祉サービスとしての請求」と「雇用に伴う給与の計算」の両方を、いかにスムーズに扱えるかがシステム選びのポイントになります。
就労継続支援B型に必要な機能
就労継続支援B型は、A型とは対照的に雇用契約を結びません。一般企業への就職が難しい方に、体調や状況に合わせた無理のない働き方の場を提供するサービスです。契約の形が違うため、利用者に支払うお金も「給与」ではなく「工賃」と呼ばれます。B型のシステム選びでは、この工賃をめぐる機能が最大の焦点になります。
工賃が給与と決定的に違うのは、支払いの財源(原資)です。給与が事業所の人件費として支払われるのに対し、工賃は生産活動によって得た収益から支払わなければならないと定められています。生産活動とは、製品の製造・販売や、企業から請け負った作業などのこと。この活動で得た売上から、材料費などの経費を差し引いた金額が、工賃の原資になります。
つまり、「いくら売れて、いくら経費がかかり、手元にいくら残ったか」という生産活動の収支が、そのまま工賃の分配額に直結するわけです。この収支管理を紙やExcelで行うと、日々の売上や経費の記録と、利用者ごとの作業実績を突き合わせる作業がとても煩雑になります。業務システムであれば、生産活動の収入・経費を入力しておくことで、そこから支払える工賃の原資が算定され、利用者ごとの作業実績に応じた分配額まで計算できます。
さらに気をつけたいのが、平均工賃月額の管理です。B型では、利用者一人当たりの平均工賃月額を3,000円以上に保つよう定められており、この金額は「年間の工賃支払総額 ÷ 1日あたりの平均利用者数 ÷ 12か月」で計算します。日々の出席状況と工賃のデータが正確に積み上がっていないと、この集計は月末の大きな負担に。加えて、令和8年6月の報酬改定で基本報酬区分の下限が引き上げられたこともあり、「自事業所が今どの区分にあるのか」をシステム上でシミュレーション(試算)できる環境が、これまで以上に大切になっています。記録から工賃計算、平均工賃月額の集計までを一気につなげられるかどうかが、B型のシステム選びの要と言えるでしょう。
就労移行支援に必要な機能
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方に、訓練や就職活動のサポートを行うサービスです。A型・B型と違って、利用できる期間が原則2年間と決まっている点が大きな特徴。この期間の中で成果を出す必要があるため、時間の管理と記録の積み重ねが重要になります。
まず求められるのが、利用期間の管理機能です。原則2年という限られた期間をどう使うか、残りの期間はあとどれくらいかを把握しながら支援を進めるため、期間を見える形で管理できると計画が立てやすくなります。あわせて、訓練の進み具合を記録する機能も欠かせません。どんな訓練をどこまで行い、利用者がどう成長したかを日々記録しておくことで、支援の方向性を見直す土台になります。
就職活動そのものを支える機能も必要です。就職に向けた活動の記録や、就職が決まった後の状況報告は、次に説明する定着支援へ引き継ぐための大切な情報になります。就労移行支援では、こうした就職実績を行政へ報告する場面もあるため、日々の記録がそのまま実績の裏づけになるわけです。さらに、利用者の適性や課題を見極めるアセスメント(本人の状況を評価すること)の機能と、これらの記録が連携していれば、より一人ひとりに合った支援につなげやすくなります。
就労定着支援に必要な機能
就労定着支援は、就職した方が長く働き続けられるよう、就職後の職場定着をサポートするサービスです。就労移行支援などを経て就職した人が、新しい職場になじめているか、生活面で困りごとが出ていないかを継続的に見守る役割を担います。
このサービスで特徴的なのが、月ごとのモニタリングという記録のサイクルです。定着支援では、対象者と月に1回以上面談し、就労状況や生活の様子を確認・記録することが求められます。そのため業務システムには、この月次のモニタリングを記録・管理する機能が必要です。毎月の面談内容をきちんと積み上げられれば、支援の経過をひと目で振り返れます。
また、就職後は職場の状況や本人の体調、生活の変化など、さまざまな要因で困りごとが生じることがあります。そうした変化を継続的に把握し、記録として残していく機能があれば、問題が大きくなる前に手を打ちやすくなります。定着支援は「就職して終わり」ではなく、その後を長く支えるサービス。だからこそ、変化を追い続けられる記録の仕組みが土台になります。
【目的別】就労継続支援向け業務システム
ここからは、実際の業務システムを目的別にご紹介します。システムは「何を効率化したいか」によって得意分野が分かれるため、自事業所の課題に合ったタイプから選ぶのが近道です。大きく、次の4つのタイプに整理しました。
- 請求業務に特化したタイプ
- 記録・実績管理に特化したタイプ
- AIが書類作成を担うタイプ
- 記録・請求・勤怠まで一画面で完結させたいタイプ
それぞれの特徴と代表的な製品を見ていきましょう。
請求業務に特化したタイプ
まずは、国保連への請求業務にしぼって効率化したい事業所向けのタイプです。すでに記録は別の方法で回せている、あるいは記録用のソフトと組み合わせて使いたい、という場合に向いています。
◆ かんたん請求ソフト

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社LITALICO |
| 料金 | 月額5,480円〜 |
| 対応サービス | 就労継続支援A型・B型を含む30以上のサービス種別 |
| 特徴 | 請求業務に機能を絞った設計(記録機能は持たない) |
「かんたん請求ソフト」は、その名の通り請求業務に機能を絞ったソフトです。国保連への請求データの伝送はもちろん、代理受領通知書(給付費を事業所が利用者に代わって受け取ったことを知らせる書類)や領収書の作成にも対応しています。就労継続支援A型・B型を含め、30以上のサービス種別に対応している点も心強いところ。
一方で、日々の支援記録を残す機能は持っていません。そのため、後ほど紹介する記録特化型のソフトと組み合わせて使う運用が前提になります。実際、記録ソフトと連携させた運用実績もあり、「記録は使い慣れたツールで、請求はこのソフトで」という分担の仕方がしやすい設計です。
記録・実績管理に特化したタイプ
次は、日々の支援記録や実績の管理を効率化したいタイプです。請求機能は持たないものが多く、請求特化型のソフトと組み合わせて使うことを想定した製品もあります。このタイプの代表として、次の3つを紹介します。
- ポチパス:記録・実績・工賃・勤怠まで幅広くカバー
- ケアコラボ:家族や多職種との「共有」に重点
- ブルーオーシャンノート:監査対象の記録を自動作成
◆ ポチパス

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 初期費用50,000円+月額5,000円〜 |
| 対応機能 | 支援記録、実績(日別・集計)、工賃計算、支援計画・モニタリング、勤怠管理 |
| 特徴 | 請求機能はなく、請求ソフトとの連携運用が前提 |
「ポチパス」は、記録まわりを幅広くカバーするシステムです。支援記録や日別・集計の実績管理に加え、工賃計算や支援計画・モニタリング、勤怠管理まで対応しています。タブレットやスマートフォンからその場で入力できるため、現場で使いやすいのが持ち味。
公式のFAQでは請求機能を持たないことが明記されており、請求ソフトとの連携運用が前提となっています。記録から請求までを別々のツールで分担したい事業所に向いた設計です。
◆ ケアコラボ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 最初の2か月間は利用料無料 |
| 対応サービス | 就労継続支援B型、生活介護、グループホームなど |
| 特徴 | 家族や多職種とも記録を共有できる「共有」重視の設計 |
「ケアコラボ」は、記録の共有に重点を置いたシステムです。就労継続支援B型や生活介護、グループホームなどに対応し、スタッフ間だけでなく、利用者の家族や医療・福祉の多職種とも記録を共有できるのが大きな特徴。日々の様子を関係者みんなで見守れる仕組みが、支援の質を支えます。
最初の2か月間は利用料が無料のため、まずは現場になじむかどうかをじっくり試せる点も、導入をためらいがちな事業所にはうれしいところです。
◆ ブルーオーシャンノート

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応サービス | 生活介護、就労継続支援A型・B型など通所型を中心に幅広く対応 |
| 特徴 | ケース記録・管理日誌など監査対象の記録を自動作成 |
| オプション | AIによる音声入力・記録要約機能 |
「ブルーオーシャンノート」は、記録に特化したシステムです。生活介護や就労継続支援A型・B型といった通所型を中心に、幅広いサービス種別に対応しています。特徴的なのは、ケース記録(利用者一人ひとりの状態や支援内容の記録)や管理日誌といった、監査で確認される記録を自動で作成できる点。日々の入力が、そのまま監査対策につながります。
さらにオプションでは、AIによる音声入力や記録の要約機能も用意されています。話した内容を文字に起こし、要点をまとめてくれるため、記録にかかる時間を短くできます。
AIが書類作成を担うタイプ
続いては、AI(人工知能)を活用して書類作成そのものを肩代わりしてくれるタイプです。面談の会話などをもとに、記録や計画書の下書きを自動で作ってくれるため、書類業務に追われている事業所の負担を大きく減らせます。代表的な2つを紹介します。
- Maa2:就労継続支援B型に特化、実地指導に耐える書類作成を支援
- AURA就労支援:請求帳票の作成までAIがカバー
◆ Maa2

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応サービス | 就労継続支援B型に特化 |
| 特徴 | 厚生労働省の告示・解釈通知をAIに取り込み、実地指導に耐える書類作成を支援 |
| 主な機能 | 面談・会議の録音から記録・計画書を自動生成 |
「Maa2」は、就労継続支援B型に特化したAIシステムです。厚生労働省の告示や解釈通知(制度の細かい取り扱いを示した公式の文書)をAIに取り込んでいるため、実地指導に耐えられる書類の作成を支援してくれます。面談や会議の録音から、記録や計画書を自動で作り出せるのも便利なところ。
公式サイトによると、こうした機能によって月間の業務時間を大きく削減できるとされています。制度に沿った書類を、できるだけ手間なく整えたいB型事業所に向いた選択肢です。
◆ AURA就労支援

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応サービス | 就労移行支援、就労継続支援A型・B型 |
| 主な機能 | 面談記録・支援計画書・モニタリング・国保連請求帳票の作成にAIを活用 |
| 特徴 | 請求帳票の作成までカバーする対応範囲の広さ |
「AURA就労支援」も、AIで書類作成を支援するシステムです。就労移行支援や就労継続支援A型・B型に対応し、面談記録や支援計画書、モニタリングに加えて、国保連への請求帳票の作成までAIが手助けします。請求に関わる帳票までカバーする点で、記録・計画書が中心のMaa2よりも守備範囲が広いのが特徴。
同社の発表によると、AIの活用によって書類業務を大幅に削減できるとされています。書類作成から請求までをまとめてAIに任せたい事業所には、有力な候補になります。
記録・請求・勤怠まで一画面で完結させたいタイプ
最後は、記録から請求、勤怠までを一つのシステムでまとめて扱いたいタイプです。複数のソフトを組み合わせる手間がなく、情報が一か所に集まるため、事業所全体を効率化したい場合に向いています。代表的な3つを紹介します。
- かべなしクラウド:計画から請求まで幅広く搭載したオールインワン型
- knowbe:請求と記録を一気通貫で管理、幅広いサービス種別に対応
- ケア・オール:グループホームと就労継続支援B型に特化
◆ かべなしクラウド

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 月額9,800円〜(税抜)、初期費用・サポート費用0円 |
| 主な機能 | 個別支援計画、支援記録、工賃・給与計算、送迎管理、請求機能 |
| 特徴 | オールインワン設計、電子サインに対応 |
「かべなしクラウド」は、運営に必要な機能を一通りそろえたオールインワン型のシステムです。個別支援計画や支援記録の作成、工賃・給与の計算、送迎管理、そして請求機能までを一つのソフトに搭載しています。電子サイン(画面上で署名を受け取る仕組み)にも対応しており、紙のやり取りを減らせるのも利点。
料金は月額9,800円〜(税抜)で、初期費用とサポート費用が0円のため、導入時のハードルが低いのも魅力です。
◆ knowbe

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 初期費用・サポート費用0円、最短1か月契約 |
| 対応サービス | 就労・通所系、入所・居住支援系、訪問系、相談支援系など幅広く対応 |
| 特徴 | 請求と記録を一気通貫で管理するクラウド型 |
「knowbe」は、請求と記録を一つの流れ(一気通貫)で管理できるクラウド型のソフトです。就労・通所系だけでなく、入所・居住支援系、訪問系、相談支援系まで、幅広いサービス種別に対応しています。複数の事業を運営していても、同じシステムでまとめて管理できるのが強みです。
初期費用・サポート費用が0円で、契約は最短1か月から。「まず短期間だけ試したい」というニーズにも応えやすい料金体系になっています。
◆ ケア・オール

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応サービス | グループホーム、就労継続支援B型に特化 |
| 主な機能 | 支援記録、工賃計算、送迎管理、国保連請求、業務日誌 |
| 特徴 | 支援記録の内容が自動で請求データに反映される |
「ケア・オール」は、グループホームと就労継続支援B型に特化したオールインワン型のシステムです。支援記録や工賃計算、送迎管理、国保連請求、業務日誌までを一元管理できます。対象を絞っている分、B型の現場で必要な機能がしっかりそろっているのが特徴。
とりわけ便利なのが、支援記録の内容が自動で請求データに反映される仕組みです。日々の記録を入力しておけば、それがそのまま請求のもとになるため、転記の手間をかけずに請求業務まで進められます。
就労継続支援の業務システムの選び方
ここまで見てきたように、業務システムは製品によって得意分野も対応範囲も大きく異なります。数ある選択肢の中から自事業所に合う1本を見つけるには、いくつかの軸で順番に絞り込んでいくのが効果的です。ここでは、確認しておきたい4つの視点を紹介します。
- 自事業所のサービス種別・対応範囲で絞り込む
- 請求機能の有無で絞り込む
- 料金体系で絞り込む
- ITのサポート体制で絞り込む
上から順に確認していくと、候補が自然としぼられていきます。
自事業所のサービス種別・対応範囲で絞り込む
最初に確認したいのが、そのシステムが自事業所のサービス種別に対応しているかどうかです。これまで見てきたように、就労継続支援A型・B型・移行支援・定着支援では、必要な機能がそれぞれ違います。工賃計算が必要なB型に、給与計算向けの機能ばかりが充実したシステムを入れても、力を発揮しきれません。
しかも、対応するサービス種別は製品によって大きく異なります。たとえば「ケア・オール」はグループホームと就労継続支援B型に的を絞った設計である一方、「knowbe」は就労・通所系から入所・居住支援系、訪問系、相談支援系まで幅広くカバーしています。まずは、自事業所が提供しているサービスがきちんと守備範囲に入っているかを確かめましょう。
複数の事業所や、複数のサービス種別を運営している場合は、視点がもう一つ加わります。それは、一つのシステムで横断的に対応できるかどうか。事業所ごと・サービスごとに別々のシステムを使うと、情報が分散して管理が煩雑になります。幅広い種別に対応した製品を選べば、まとめて管理できて運用がぐっと楽になります。
請求機能の有無で絞り込む
次に確認したいのが、請求機能が備わっているかどうかです。前の章で触れたように、記録に特化したシステムの中には、国保連への請求機能を持たないものがあります。たとえば「ポチパス」は、公式のFAQで請求の機能はないと明記されており、請求ソフトとの併用が前提の設計です。
そのため、記録特化型を検討するときは、請求業務をどう回すかもセットで考える必要があります。判断の軸はシンプルで、「記録から請求までを一つのシステムで完結させたいのか」、それとも「請求は別のソフトで運用してもかまわないのか」のどちらか。
すでに使い慣れた請求ソフトがあるなら、記録特化型と組み合わせる形でも問題ありません。逆に、これから一式そろえるなら、記録・請求が一体になったオールインワン型のほうが、ツールをまたぐ手間がなく管理もシンプルです。自事業所の現状に合わせて、どちらの運用が向いているかを見極めましょう。
料金体系で絞り込む
3つ目の軸は料金です。ここで大切なのは、月額の金額だけを見て判断しないこと。初期費用の有無や、最低限契約しなければならない期間、職員数やサービス種別によって料金が変わるかどうかまで含めて、全体像を確認する必要があります。
実際、料金体系は製品によってさまざまです。「かべなしクラウド」は初期費用・サポート費用が0円で月額9,800円〜(税抜)、「knowbe」も初期費用0円で最短1か月から契約できます。一方、「ポチパス」は初期費用として50,000円がかかり、そのうえで月額5,000円〜という体系です。同じ月額でも、初期費用の有無で導入時の負担は大きく変わってきます。
特に小規模な事業所の場合は、初期費用0円・月額固定というわかりやすい料金体系のほうが、運用しやすいものです。毎月の支出が読みやすく、導入時にまとまった出費が発生しないため、経営の見通しも立てやすくなります。契約期間の縛りが短ければ、「合わなければやめる」という判断もしやすいでしょう。
ITのサポート体制で絞り込む
最後に見落としがちなのが、導入した後に使いこなせるかという点です。どんなに機能が優れていても、現場の職員が操作に戸惑ってしまっては意味がありません。ITやパソコンが苦手な職員がいる事業所ほど、この視点は重要になります。
チェックしたいのは、まず画面の操作がわかりやすいかどうか。決まった様式に沿って入力できるテンプレート機能があれば、毎回ゼロから書類を作る必要がなく、パソコンに不慣れな職員でも迷わず入力できます。あわせて、導入時に説明会を開いてくれるか、操作マニュアルは用意されているか、困ったときの問い合わせにきちんと応じてくれるかといった、サポート体制の充実度も確認しておきましょう。
そして、ぜひ活用したいのが無料体験やお試し期間です。「使いやすい」という言葉は、どの製品も掲げているもの。だからこそ、宣伝文句をうのみにせず、実際に現場の職員に触ってもらって使用感を確かめることが大切です。本格導入の前に試せる期間があれば、「画面が見づらい」「操作がわかりにくい」といったミスマッチを避けられます。無料体験の有無やその期間の長さも、システム選びの判断材料になります。
システム導入を検討したら無料トライアルから
ここまで、就労継続支援に業務システムを導入するメリットから、サービス種別ごとに必要な機能の違い、目的別のシステム比較、そして失敗しない選び方まで見てきました。数多くの製品がある中で、自事業所に合う1本を見極めるには、実際に触れて確かめることが何より大切です。多くのシステムには無料体験やお試し期間が用意されているので、まずは気になった製品のトライアルから始めてみましょう。宣伝文句だけではわからない使い勝手を、現場の職員が自分の手で確認できます。
一方で、いくつかのシステムを試すうちに、「どれも自分たちの運用にはしっくりこない」と感じるケースもあるかもしれません。支援記録の様式が独自すぎて標準の機能に載せきれない、法人内の他の事業とまたいだ情報共有ができないなど、既製品だけでは解決しきれない課題を抱えている事業所も少なくないためです。市販のソフトは幅広い事業所に合うよう作られている分、細かい部分で「かゆいところに手が届かない」もどかしさが残ることもあります。
そうした場合には、自分たちの業務の流れに合わせてシステムを作る、いわゆるDX(デジタル化による業務の見直し)という選択肢も検討する価値があります。既存のソフトを組み合わせるだけでは埋まらない部分を、事業所の実情に合わせて設計し直すことで、無理なく現場に馴染む仕組みを作れる可能性があるからです。
もっとも、システム開発と聞くと、費用や期間の面でハードルが高く感じられるかもしれません。まずは自分たちの事業所で、記録や請求のどこにどれくらいの負担がかかっているのかを整理し、それが仕組み化やシステム化で解決できそうな課題なのかを見極めることから始めてみましょう。その判断材料を得るひとつの方法として、DX・受託開発を専門に手がける企業に相談してみるのもおすすめです。
EPICs株式会社(https://epic-s.co.jp/)では、ノーコードやAIを活用した開発により、現場の業務に合わせたシステムづくりを、費用を抑えながら支援しています。構想が固まっていない段階のご相談でも問題ありません。
業務システムの導入は、決して大がかりな決断から始める必要はありません。無料トライアルで使用感を確かめてみる、既製品で足りない部分だけを相談してみる——そうした小さな一歩の積み重ねが、やがて職員の負担軽減と、利用者への支援の質の向上につながっていくはずです。
