「利用者さんの支援が終わってから、ようやく記録に手をつける」「気づけば毎日のように定時を過ぎている」。障害者施設で働く方や施設を運営する方の中には、こうした状況に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
障害者施設の残業は、職員一人ひとりの頑張りが足りないから起きるものではありません。人手不足による体制の偏り、障害福祉ならではの書類業務の多さ、そして紙やExcelに頼った運用。こうした職場の仕組みそのものに原因があるケースがほとんどです。
本記事では、障害者施設で残業が発生しやすい3つの原因を整理します。あわせて、原因ごとに取り組める具体的な対策も解説。支援記録や個別支援計画(利用者一人ひとりの目標や支援内容をまとめた計画書)、国保連請求(国民健康保険団体連合会へ行う報酬の請求手続き)など、障害福祉の現場特有の業務にも踏み込んで紹介していくので、残業を減らすヒントを探している方はぜひ参考にしてください。
Q. 障害者施設の残業はなぜ多い?
A. 主な原因は3つです。業務が一部の職員に集中する体制、支援記録・個別支援計画・国保連請求など障害福祉ならではの事務の多さ、そして紙・Excel中心のアナログ運用。事務は利用者対応の後に回りやすく、時間外に押し出されます。
Q. 障害者施設の残業を減らすには?
A. 原因に合わせて対策を選ぶことが大切です。体制には主担当・副担当を決めた業務分担の見直し、業務量には記録のテンプレート化や申し送りのルール化、アナログ運用には紙・Excelをやめた情報の一元化が有効。着手しやすいものから始めましょう。
Q. 障害者施設の残業を放置するとどうなる?
A. 職員の離職が進み、残った職員の負担が増える悪循環に陥ります。さらに、サービス残業が当たり前になれば未払い残業代などの労務リスクを抱えることに。疲れから記録漏れや見落としが増え、利用者への支援の質も下がりかねません。
障害者施設の残業のよくある原因とは?

障害者施設の残業は、いくつかの原因が重なって生まれるもの。ここでは、多くの施設に共通する3つの原因を紹介します。
- 人手不足と「一人に集中する」体制
- 障害福祉ならではの「業務量の多さ」
- 紙・Excel・手書き中心のアナログ運用が残っている
原因① 人手不足と「一人に集中する」体制
1つ目の原因は、人手不足そのものよりも、業務が一部の職員に集中してしまう体制にあります。
障害福祉の現場では、慢性的に人手が足りていない施設も少なくありません。そうした中で職員が休んだり辞めたりして欠員が出ると、その人の業務は残った職員が代わりに引き受けることに。本来の業務に上乗せされた分が時間内に終わらず、残業へと押し出されていきます。
とくに業務が集中しやすいのが、サビ管(サービス管理責任者:個別支援計画の作成や支援全体の管理を担う責任者)や管理者です。個別支援計画の作成や国保連請求などは、属人化(仕事のやり方が特定の人にしかわからない状態)しやすく、代わりを頼める人がいません。その結果、担当者が一人で抱え込み、定時を過ぎても作業を続けることになりがちです。
また、グループホームなどで一人夜勤や宿直(夜間に施設に泊まり込んで対応する勤務)を行う場合も、記録や利用者対応を一人でこなさなければなりません。夜間に起きた出来事の記録や引き継ぎの準備が勤務時間内に終わらず、そのまま時間外にずれ込むこともあります。
人手不足を根本から解消するには職員を増やすのがいちばんですが、障害福祉の分野では採用が難しく、すぐに効果が出るとは限りません。つまり体制の問題は、3つの原因の中でも最も変えにくい部分。だからこそ、後半で紹介するように、今いる人員で業務の偏りをなくす工夫が大切になります。
原因② 障害福祉ならではの「業務量の多さ」
2つ目の原因は、障害者施設に特有の事務作業が多く、それが時間外に押し出されてしまうことです。障害福祉の現場には、主に次のような業務があります。
- 支援記録:日々の支援内容や利用者の様子を残す記録。量も頻度も多い
- 個別支援計画に関する書類:計画の作成に加え、モニタリング(計画どおりに支援が進んでいるかの確認)やアセスメント(利用者の状況や希望の聞き取りと整理)が定期的に発生する
- 国保連請求:サービスの報酬を請求する手続き。加算(一定の条件を満たした場合に報酬が上乗せされる仕組み)の計算も含めて煩雑で、ミスが許されない分、確認にも時間がかかる
- 申し送り:職員同士の引き継ぎ。口頭やノートで行うと時間がかかり、始業前や終業後にはみ出しやすい
- 送迎:事業所によっては利用者の送迎があり、その分だけ日中の業務時間が圧迫される
これらの業務に共通するのは、利用者への支援を行っている間は手をつけにくいという点。日中は利用者対応が優先されるため、記録や書類作成は「支援が終わってから」「利用者が来る前に」と後回しにされがちです。その結果、事務作業が始業前や終業後に回り、残業として積み重なっていきます。
支援記録・個別支援計画・国保連請求といった業務は、介護施設とは異なる障害福祉ならではの負担です。自施設の残業を考えるときは、こうした固有の事務にどれだけ時間を取られているかに目を向けることが大切になります。
原因③ 紙・Excel・手書き中心のアナログ運用が残っている
3つ目の原因は、記録や申し送り、請求などの業務が、紙・Excel・手書き中心のまま残っていることです。
アナログな運用が残っていると、同じ情報を何度も書き写す「二重入力」や「転記」が発生します。たとえば、申し送りノートに書いた内容を支援記録に書き直し、さらに請求用のデータにも入力し直すといった具合。一つひとつは短い作業でも、毎日積み重なれば大きな時間になります。
また、情報が紙の書類やExcelファイル、職員個人のメモなどに分かれて保管されていると、「あの記録はどこにある?」と探す時間や、ほかの職員に電話で確認する時間も増えていきます。手書きや書き写しはミスも起こりやすく、その照合や修正にもさらに手間がかかるでしょう。
やっかいなのは、こうした時間が「残業」として意識されにくいことです。書き写しや探し物は業務の合間に少しずつ発生するため、本人も負担に気づきにくく、改善されないまま放置されがち。いわば「見えない残業」として、時間外に少しずつしみ出していきます。ただし、この原因は、業務と情報を1か所に集約することで解消しやすい部分でもあるのです。
残業を放置すると起こること

残業は「忙しい時期だから仕方ない」と見過ごされがちです。しかし、そのまま放置すると、職員・施設運営・利用者のそれぞれに影響が広がっていきます。ここでは、残業を放置した場合に起こりやすい問題を見ていきましょう。
- 職員の離職が進み人手不足がさらに悪化する
- サービス残業が常態化し労務リスクを抱える
- 支援の質が下がり利用者への影響につながる
職員の離職が進み人手不足がさらに悪化する
残業を放置したときに最も大きいリスクは、職員の離職が進み、残った職員の負担がさらに増えるという悪循環に陥ることです。
残業が続くと、心身の疲れが抜けないまま翌日の勤務を迎えることになります。そうした状態が長引けば、「このままでは続けられない」と退職を考える職員が出てくるのも無理はありません。
問題は、職員が1人辞めたあとに起こります。欠員が出た分の業務は残った職員で分担することになり、一人あたりの負担は重くなる一方。その結果、別の職員も辞めてしまい、さらに残業が増えていくという循環が生まれるのです。
残業が増える → 疲れがたまり離職する → 欠員が出る → 残った職員の残業がさらに増える
原因①で触れた「業務が一部の職員に集中する体制」も、この悪循環によってますます強まっていきます。
離職は、施設運営にも大きな損失をもたらします。新しい職員を迎えるには求人広告などの採用コストがかかり、入職後も一人前になるまで教育の手間と時間が必要です。さらに、経験を積んだ職員が辞めると、利用者一人ひとりへの関わり方のコツや書類作成の進め方といったノウハウも一緒に失われてしまいます。
職員が定着しない施設では支援体制が安定せず、利用者や家族からの信頼にも影響しかねません。残業対策は職員を守るだけでなく、施設運営そのものを安定させるための取り組みといえるでしょう。
サービス残業が常態化し労務リスクを抱える
残業を正しく管理しないまま放置すると、サービス残業(残業代が支払われない時間外の労働)が当たり前になり、未払い残業代などの労務リスクを抱えることになります。
原因③で触れたように、記録の書き写しや情報探しにかかる時間は、残業として意識されにくいもの。職員自身も「自分の作業が遅いだけ」と考え、タイムカードを押したあとに記録を仕上げたり、始業前に準備を済ませたりしているケースは少なくありません。
こうした「見えない残業」は、施設側が気づかないうちに積み重なっていきます。そして、職員の退職などをきっかけに、未払いの残業代として後から問題になることもあるのです。
労働時間のルールは労働基準法で定められており、法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えて働いてもらうには、36協定(さぶろくきょうてい:時間外労働について会社と職員の代表が結ぶ取り決め)の締結と届出が必要です。時間外労働の上限も、原則として月45時間・年360時間と決められています。
こうしたルールを守るうえで前提となるのが、職員一人ひとりの労働時間を正確に把握すること。タイムカード上の時間と実際に働いている時間にずれがないかを確認し、残業が発生している業務を洗い出すことが、運営者として最初に取り組みたいポイントです。
支援の質が下がり利用者への影響につながる
残業続きで職員が疲れ切ってしまうと、支援の質が下がり、最終的には利用者に影響が及びます。
疲れがたまって気持ちに余裕がなくなると、どうしても注意力は落ちてしまうもの。支援記録の書き漏れや申し送りの伝え忘れ、利用者の小さな体調変化の見落としといったミスが起こりやすくなります。また、「早く終わらせなければ」という焦りから、利用者一人ひとりの話にじっくり耳を傾ける余裕も失われがちです。
障害福祉サービスの本来の目的は、利用者が自分らしく暮らしたり働いたりできるよう支えることにあります。職員が疲弊した状態では、その目的を十分に果たすのは難しいでしょう。
つまり、残業対策は単なる人件費の削減ではなく、支援の質を守るための取り組み。職員がゆとりを持って利用者と向き合える環境を整えることは、利用者や家族から選ばれる施設であり続けることにもつながります。
自施設の残業の原因を確認する方法

ここまで紹介した3つの原因のうち、どれが大きく影響しているかは施設によって異なります。効果のある対策を選ぶには、まず自施設の残業がどこから生まれているのかを正しくつかむことが欠かせません。ここでは、残業の原因を確認するための進め方を紹介します。
- 残業がいつ・どの業務で発生しているかを記録する
- 残業の原因をカテゴリーに切り分ける
- 現場の職員に「どこで時間がかかるか」をインタビューする
残業がいつ・どの業務で発生しているかを記録する
原因を見つける第一歩は、「いつ・誰が・どの業務で」残業しているかを一定期間書き出し、実態を目に見える形にすることです。
記録する際は、次のような点に注目してみましょう。
- 残業が始業前と終業後のどちらに多いか
- 特定の曜日や時期(請求業務が集中する月末・月初など)に偏りがないか
- 残業している時間に何をしているか(支援記録、申し送り、請求、送迎、利用者対応など)
- 特定の職員に残業が集中していないか
とくに大切なのが、残業中の作業内容を業務単位で把握すること。「なんとなく忙しい」という感覚のままでは、本当の原因とは違うところに手を打ってしまうおそれがあります。事実をもとに判断すれば、思い込みによる的外れな対策を避けられるでしょう。
注意したいのは、原因③で触れた「見えない残業」です。書き写しや情報探し、確認の電話といった作業は、職員自身が残業と認識していないことも多く、タイムカードの記録だけでは実態が見えてきません。職員に作業内容を気軽に書き込んでもらうなど、申告されにくい時間まで丁寧に拾い上げる工夫が求められます。
残業の原因をカテゴリーに切り分ける
書き出した残業を「①体制」「②業務量」「③アナログ運用」の3つに振り分けると、自施設で残業を生んでいる主な原因が見えてきます。判断の目安は次のとおりです。
| こんな残業が多いなら | 主な原因 | 対応する対策 |
|---|---|---|
| 欠員の穴埋めや、特定の人への業務集中による残業 | ①体制 | 業務分担の見直し・属人化の解消 |
| 支援記録・申し送り・請求など、事務そのものの多さによる残業 | ②業務量 | 記録・申し送り・請求の事務の効率化 |
| 同じ情報を何度も入力したり、探したりすることによる残業 | ③アナログ運用 | 紙・Excelをやめ、情報を一元化 |
実際には、複数の原因が絡み合っているケースも少なくありません。たとえば「サビ管が一人で請求業務を抱え、しかもExcelと紙の両方に同じ内容を入力している」といった場合、体制とアナログ運用の両方が関係しています。
そんなときは、最も多くの時間を取られている原因から手をつけるのが近道。すべてを一度に解決しようとするより、効果の大きいところから順に取り組むほうが、現場の負担も少なく済みます。どの原因が中心かがわかれば、このあと紹介する対策の中から、自施設に合うものを選びやすくなるはずです。
現場の職員に「どこで時間がかかるか」をインタビューする
管理者が考えている残業の原因と、現場の職員が感じている負担は、ずれていることが少なくありません。記録で見えてきた傾向を確かめるためにも、職員へのヒアリング(聞き取り)で原因の裏付けを取りましょう。
聞き取りでは、「忙しいですか?」といった漠然とした質問ではなく、次のように具体的に尋ねるのがポイントです。
- どの業務がいちばん負担に感じるか
- どの作業で手が止まったり、時間がかかったりしているか
- 勤務時間外にやっている作業はないか
- 探し物や確認の電話に時間を取られていないか
こうした質問を通じて、タイムカードには表れないサービス残業や見えない残業を拾い上げられます。「記録を書くたびに、前の記録を紙のファイルから探している」といった声が出てくれば、アナログ運用が原因の一つだとわかるでしょう。
ヒアリングで得た情報は、前の見出しで紹介した3つの原因への切り分けに反映させてください。記録とあわせて確認することで、原因の見極めがより正確になります。
また、現場の声を聞いて対策を決めるプロセスそのものにも意味があります。職員が「自分たちの意見が反映された」と感じられれば、新しいやり方にも前向きに取り組みやすくなり、対策が定着しやすくなるもの。残業対策を一部の管理者だけで進めるのではなく、現場を巻き込みながら進めることが成功への近道です。
障害者施設の残業を減らすには?

自施設の残業の原因が見えてきたら、次はその原因に合った対策を選びます。原因を踏まえずに「とにかく早く帰ろう」と呼びかけても、業務そのものが減らなければ、サービス残業や持ち帰り仕事に形を変えるだけ。ここでは、3つの原因それぞれに対応する対策を解説します。
- 体制への対策:業務分担を見直し、属人化を解消する
- 業務量への対策:記録・申し送り・請求の事務を効率化する
- アナログ運用への対策:紙・Excelをやめ、情報を一元化する
体制への対策:業務分担を見直し、属人化を解消する
体制の問題に対しては、職員を増やすことよりも、今いる人員で業務の偏りをなくすことから始めるのが現実的です。
人手不足を解消しようと採用に力を入れても、障害福祉の分野では人材の確保が難しく、すぐに効果が出るとは限りません。まずは「特定の人しかできない業務」を減らし、業務が一人に集中しない形を整えましょう。
一つ目は、業務ごとに主担当と副担当を決めることです。たとえば個別支援計画の作成は、サビ管の役割とされています。ただ、アセスメントの情報をまとめる作業や、会議資料の準備などはほかの職員も手伝えるはず。副担当が業務の流れを把握しておけば、主担当が休んだときにも仕事が止まりにくくなります。
二つ目は、属人化しがちな業務の手順を共有すること。請求業務の流れや書類の保管場所、よくある確認ポイントなどを手順書にまとめておけば、担当者が不在でも別の職員が対応できるようになります。
三つ目は、引き継ぎや情報共有のルールを決めることです。「口頭で伝えたつもり」「あの人に聞けばわかる」という運用では、伝え漏れや確認の手間が生まれ、結局は誰かの残業につながりかねません。何を・いつ・どこに残すかを決めておくと、シフトや担当が変わっても業務が回る体制に近づきます。
増員や採用は、こうした分担の見直しを行ったうえで検討する最終手段と考えるとよいでしょう。業務の偏りが残ったまま人を増やしても、再び一部の職員に負担が集中してしまうおそれがあります。
業務量への対策:記録・申し送り・請求の事務を効率化する
業務量の問題に対しては、支援記録や申し送り、国保連請求といった障害福祉ならではの事務を効率化し、時間外に回る作業を減らすことが効果的です。
支援記録は、テンプレート(あらかじめ項目が決まった記入用のひな形)を用意し、入力する項目を必要なものに絞るだけでも負担が軽くなります。毎回ゼロから文章を考えるのではなく、「活動内容」「利用者の様子」「気づいたこと」など決まった枠に沿って書けば、記録にかかる時間が短くなるうえ、職員ごとの書き方のばらつきも抑えられるでしょう。
申し送りは、口頭やノートでの伝達から、「決まった場所に記録し、必要な人が見に行く」形に変えるのがおすすめ。全員が集まって話す時間が不要になり、始業前や終業後に申し送りのためだけに残る必要もなくなります。聞き逃しや伝え忘れを防ぎやすくなる点もメリットです。
国保連請求や加算の計算は、ミスが許されない分、確認に時間がかかりがちな業務です。計算を手作業に頼らず自動で行える仕組みを取り入れたり、ダブルチェックの担当と時期をあらかじめ決めておいたりすることで、月末・月初に作業が集中するのを防ぎやすくなります。
さらに、事務を時間外にためない工夫も欠かせません。利用者が活動に取り組んでいる時間など、日中のすき間時間に少しずつ記録を進める習慣をつければ、終業後にまとめて書く量を減らせます。
アナログ運用への対策:紙・Excelをやめ、情報を一元化する
アナログ運用の問題に対しては、紙・Excel・手書きでの管理をやめ、情報を1か所にまとめる(一元化する)ことが対策になります。二重入力や書き写し、情報を探す時間をまとめて減らせる点が大きなメリットです。
紙やExcelで管理していると、申し送りノートに書いた内容を支援記録に書き直し、さらに請求用のデータにも入力し直すといった作業が発生しがち。一度入力した情報をほかの書類でもそのまま使える状態にすれば、同じ内容を何度も書く手間はなくなります。
また、情報が紙の書類やExcelファイル、職員個人のメモなどにばらばらに散らばっていると、「あの記録はどこにある?」と探したり、ほかの職員に電話で確認したりする時間が積み重なります。情報を1か所に集めておけば、必要なときにすぐ確認できるようになり、こうした時間も減らせるでしょう。
情報の一元化は、前の見出しで紹介した記録・申し送り・請求の効率化とも重なる部分が多い対策です。一度入力した記録をもとに請求まで進められるようになるなど、業務量の削減にも直結するため、取り組んだときの効果が大きくなりやすいのが特長。こうした仕組みを実現する手段として、障害福祉向けのICT(パソコンやタブレット、クラウドサービスなどのIT機器・システム)の導入を検討する価値は十分にあります。
残業対策は原因を切り分け、着手しやすい対策から始める

障害者施設の残業は、職員一人ひとりの努力不足ではなく、職場の仕組みから生まれるものです。主な原因は次の3つ。
- 人手不足と「一人に集中する」体制
- 障害福祉ならではの業務量の多さ
- 紙・Excel・手書き中心のアナログ運用
残業を放置すると、職員の離職による人手不足の悪化、サービス残業による労務リスク、支援の質の低下といった問題につながりかねません。
対策を進めるうえで大切なのは、いきなり大きな改革を目指さないこと。まずは残業がいつ・どの業務で発生しているかを記録し、現場の職員の声も聞きながら、自施設の残業がどの原因から生まれているのかを切り分けてみましょう。
原因が見えてきたら、着手しやすい対策から取り組むのが近道です。増員は採用が難しく、すぐには効果が出にくい一方、業務分担の見直しや支援記録のテンプレート化、申し送りのルール化などは今日からでも始められます。そのうえで、紙やExcelに散らばった情報を一元化すれば、二重入力や探し物の時間をまとめて減らし、業務量の削減にもつなげられるでしょう。
残業を減らすことは、職員が安心して働き続けられる環境を守り、利用者によりよい支援を届けることにも直結します。できるところから一歩ずつ、自施設に合った残業対策を進めていきましょう。
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ここまで、障害者施設で残業が多くなる原因から、放置した場合のリスク、原因の確かめ方、具体的な対策までを見てきました。最後に、紙やExcelからの脱却を考え始めた方へお伝えしたいことをまとめます。
業務が一部の職員に集中する体制、障害福祉ならではの事務の多さ、そして紙・Excel中心のアナログ運用——。障害者施設の残業は、こうした原因が重なり合って生まれています。なかでも、記録・申し送り・請求の情報を1か所にまとめる取り組みは、二重入力や探し物の時間をまとめて減らせるため、効果を実感しやすい対策のひとつです。
情報の一元化を進める手段として、まず候補になるのは市販の業務システム。多くの製品には無料トライアルや資料請求が用意されているので、気になるものをいくつか試し、現場の職員に実際に使ってもらうとよいでしょう。
一方で、いくつか試してみても「自施設のやり方にはしっくりこない」と感じることもあるかもしれません。記録の様式が独自で標準の機能では対応しきれない、複数の事業所で情報をうまく共有できないなど、既製品だけでは解決が難しい課題を抱える施設も少なくないためです。幅広い施設で使えるように作られている分、細かな部分で使いにくさが残る場合もあります。
そうした場合は、自施設の業務の流れに合わせてシステムを作るという選択肢も検討する価値があります。とはいえ、システム開発と聞くと、費用や期間の面でハードルが高いと感じる方も多いでしょう。まずは本記事で紹介した方法で残業の原因を切り分け、どの業務に負担が集中しているのかを整理すること。そのうえで、システム化で解決できる課題なのかを見極めたいところです。判断に迷うときは、DX(デジタル技術を活用した業務の見直し)や受託開発を手がける企業に相談してみるのも一案でしょう。
EPICs株式会社(https://epic-s.co.jp/)では、ノーコードやAIを活用した開発により、現場の業務に合わせたシステムづくりを、費用を抑えながら支援しています。障害福祉施設向けの業務システムの開発にも取り組んでおり、施設で働く方の声をもとに改善を重ねてきました。「何から手をつければいいかわからない」「既製品で足りない部分だけ相談したい」といった、構想が固まっていない段階のご相談でも問題ありません。
障害者施設の残業を減らす取り組みは、大がかりな決断から始める必要はありません。残業の原因を切り分ける、すぐにできる業務分担の見直しから試してみる、自施設に合う仕組みについて専門家に聞いてみる——。そうした小さな一歩の積み重ねが、職員の負担を軽くし、利用者一人ひとりへの支援の質を高めることにつながっていくはずです。
