個別支援計画は、障害のある方が施設でどのような支援を受けるのかをまとめた書類です。法令で作成が義務づけられており、利用者一人ひとりの支援の土台となるもの。サービス管理責任者(利用者一人ひとりの支援計画づくりをまとめる責任者)が中心となって作成しますが、現場では「希望の欄に何を書けばいいのかわからない」「目標がいつも似たような文になってしまう」といった悩みも少なくありません。
書き方があいまいなままだと、本人の思いが伝わりにくくなります。職員によって支援の進め方がばらついてしまうことも。反対に、項目ごとのポイントを押さえれば、本人や家族にも、支援する職員にもわかりやすい計画に近づきます。
この記事では、個別支援計画の書き方を項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。あわせて、サービスの種類ごとの記入例も紹介。初めて計画を作る方はもちろん、今の書き方を見直したい方も、ぜひ参考にしてください。
Q. 個別支援計画はどう書けばいい?
A. 希望は本人の言葉のまま書き、課題は「支援が必要なこと」として書きます。目標は本人を主語にして期限と達成の基準を入れ、支援内容は「誰が・いつ・どのように」まで具体的に書くのが基本です。
Q. 計画には何を書く必要がある?
A. 省令では、本人と家族の意向、生活全般の質を向上させるための課題、総合的な支援の方針、目標と達成時期、留意事項の5つを原案に書くよう定めています。本人の希望から順に考えると、つながりのある計画になります。
Q. どんな手順で作り、いつ見直す?
A. 本人との面接、原案の作成、本人も参加する会議、文書での同意と交付の順で作ります。完成後は定期的に面接し、少なくとも6か月に1回(就労移行支援・自立訓練は3か月に1回)見直します。
個別支援計画とは?省令で決められた5つの項目
個別支援計画の書き方を見ていく前に、まずは計画がどんな書類なのかを確認しておきましょう。この章で解説するのは、次の3つです。
- 個別支援計画はどんな書類か
- 作成が必要なサービス
- 計画に必ず書く5つの項目
個別支援計画は本人に合わせた支援を決める書類
個別支援計画は、利用者一人ひとりの希望や状況をふまえて、事業所がどのような支援を行うかを決める書類です。事業所は、この計画に基づいて支援を行うことが省令で義務づけられています。
作成を担当するのは、サービス管理責任者(以下、サビ管)。省令では、事業所の管理者がサビ管に計画づくりを担当させるよう定められています。
なお、相談支援専門員が作る「サービス等利用計画」とは別の計画です。2つの違いは、記事の最後の「よくある質問」で取り上げています。
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第3条・第58条第1項 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8467&dataType=0&pageNo=1
作成が必要なサービスは生活介護・就労系・グループホームなど
個別支援計画の作成が必要なのは、生活介護、就労継続支援A型・B型、就労移行支援、自立訓練、共同生活援助(グループホーム)などのサービスです。主なサービスを分類すると、次のとおり。
| 分類 | 個別支援計画の作成が必要な主なサービス |
|---|---|
| 日中の活動の場 | 生活介護、療養介護 |
| 働く・働く準備 | 就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援 |
| 生活の訓練 | 自立訓練(機能訓練・生活訓練) |
| 住まい・地域生活 | 共同生活援助(グループホーム)、自立生活援助 |
なお、障害者支援施設(施設入所支援)や、児童発達支援・放課後等デイサービスにも、それぞれ別の基準で同じような計画の作成が定められています。児童発達支援で計画を担当するのは、児童発達支援管理責任者(児発管)。この記事で扱うのは、主に大人の方が利用する通所・居住系のサービスです。
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第3条 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb4746&dataType=1&pageNo=1
出典:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準」第23条 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100172
出典:e-Gov法令検索「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第27条 https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015
計画に必ず書く5つの項目
省令で、計画の原案に書くよう定められているのは、次の5つの項目です。
| 省令で定められた項目 | 記事での呼び方 | 何を書くか |
|---|---|---|
| 利用者及びその家族の生活に対する意向 | 本人の希望(家族の希望) | 本人と家族が、どんな生活を望んでいるか |
| 生活全般の質を向上させるための課題 | 課題 | 希望をかなえるために、どこに支援が必要か |
| 総合的な支援の方針 | 総合的な支援の方針 | 本人をどう見立て、どう支援を進めるか |
| サービスの目標及びその達成時期 | 目標(長期目標・短期目標) | いつまでに、どうなれば達成か |
| サービスを提供する上での留意事項 | 留意事項 | 支援するときの配慮と、本人の役割 |
5つの項目は、「本人の希望 → 課題 → 方針 → 目標 → 留意事項」の順に考えると、つながりのある計画になります。本人が望む生活を出発点に、必要な支援、支援の進め方、めざす姿、配慮することと、順番に組み立てていくイメージです。
なお、省令の条文は「〜等」で終わっており、5つ以外の欄を加えることも問題ありません。様式によっては、支援内容や担当者、支援の期間などの欄も設けられています。
様式は、事業所や自治体によってさまざま。大阪府のように、自治体が個別支援計画の参考記載例を公開している場合もあるため、所管の自治体に確認してみるとよいでしょう。
それぞれの項目の詳しい書き方は、「個別支援計画の項目ごとの書き方とポイント」の章で解説します。
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第58条第5項 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8467&dataType=0&pageNo=1
出典:大阪府「事業者様式ライブラリー」 https://www.pref.osaka.lg.jp/o090080/chiikiseikatsu/syougaijisien/youshiki.html
個別支援計画は4つのステップで作る

個別支援計画は、思いついたことを書類に書き込めば完成するものではありません。作り方の手順は、国の基準(障害福祉サービスの運営ルールを定めた省令)で決められています。流れは、大きく次の4つのステップ。
- ステップ1:本人と面接して希望と今の状況を聞き取る
- ステップ2:原案を作り、本人も参加する会議で話し合う
- ステップ3:本人の同意を文書でもらい、計画を渡す
- ステップ4:定期的に面接し、少なくとも6か月に1回見直す
どのステップでも、記録を残すことが欠かせません。運営指導(行政が事業所を訪れ、運営が基準どおりか確かめる調査)では、計画の中身に加えて、手順どおりに進めた記録も確認されます。
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第58条(療養介護の規定。生活介護や就労系サービスなどにも同様の規定があります) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8467&dataType=0&pageNo=1
本人と面接して希望と今の状況を聞き取る
計画づくりは、サビ管が本人と直接会って話を聞くところから始まります。この聞き取りは「アセスメント」と呼ばれ、本人と面接して行うことが省令で義務づけられている点がポイント。
面接の前には、何のために話を聞くのかを本人に説明し、理解してもらいます。いきなり質問を始めると、本人が身構えてしまい、本音を話しにくくなるためです。
聞き取る主な内容は、次のとおり。
- 本人がどんな生活を望んでいるか
- できること、得意なこと
- 困っていること
- 住まいや家族などの生活環境
- 体調や通院などの健康面
言葉で思いを伝えることが難しい方の場合は、表情や、写真・カードから選んだものなども手がかりになります。家族や、以前通っていた事業所からの情報も活用し、本人の意思や好みを丁寧に読み取ることが大切です。
ただし、本人の希望と家族の希望は分けて記録しましょう。家族の思いが強く出ると、本人の気持ちが見えにくくなることがあるからです。
【残しておく書類】
- アセスメントシート(聞き取った内容をまとめた用紙)
- 面接記録(面接した日付を必ず書く)
原案を作り本人も参加する会議で話し合う
次に取りかかるのが、計画の「原案」(完成前の下書き)づくりです。原案には、省令で定められた次の内容を書きます。
- 本人と家族の生活に対する意向(希望)
- 総合的な支援の方針
- 生活全般の質を向上させるための課題
- 支援の目標と、達成する時期
- 支援するうえでの留意事項
それぞれの詳しい書き方は、このあとの章でNG例・OK例とともに解説します。
原案ができたら、本人と支援の担当者を集めて会議を開きましょう。この会議は、「個別支援会議」や「担当者会議」とも呼ばれるもの。本人を招いて開くことは、令和6年度の制度改定で省令に明記されました。
会議では、本人の希望を改めて確認したうえで、担当者から原案への意見をもらいます。出てきた意見は、原案に反映させることが大切です。職員だけで決めてしまうと、本人の思いとずれた計画になりかねません。なお、テレビ電話などを使ったオンラインでの開催も認められています。
【残しておく書類】
- 計画の原案
- 会議の記録(開催日、参加者、話し合った内容)
本人の同意を文書でもらい計画を渡す
会議での意見を反映したら、原案を本人(または家族)に説明し、文書で同意をもらいます。同意を得た時点で、計画の完成です。
気をつけたいのは、完成した書類をいきなり見せて、署名だけもらうような進め方をしないこと。内容を一つずつ説明し、本人が納得したうえで同意してもらいましょう。わかりにくい言葉があれば、その場で言い換えて伝えると安心につながるでしょう。
完成した計画を、本人と相談支援事業所の両方に渡すことを「交付」といいます。相談支援事業所とは、障害福祉サービスの利用計画(サービス等利用計画)を作る事業所のこと。相談支援事業所への交付は、令和6年度の改定で義務になりました。本人に渡すだけで終わらせないよう、注意が必要です。
【残しておく書類】
- 同意をもらった計画(署名などがあるもの)
- 本人と相談支援事業所に渡した記録(交付した日、交付先)
電子署名での同意が認められるかどうかは、記事の最後の「よくある質問」で取り上げています。
定期的に面接し少なくとも6か月に1回見直す
計画は、作って終わりではありません。支援が始まったあとは、定期的に本人と面接して、計画どおりに支援が進んでいるかを確かめます。これが「モニタリング」と呼ばれる作業です。
そのうえで、少なくとも6か月に1回は計画を見直すことが省令で決められています。ただし、就労移行支援や自立訓練のように、3か月に1回以上の見直しが必要なサービスもあるので注意しましょう。
| 見直しの頻度 | 主なサービス |
|---|---|
| 少なくとも3か月に1回以上 | 就労移行支援、自立訓練(機能訓練・生活訓練) |
| 少なくとも6か月に1回以上 | 生活介護、就労継続支援A型・B型、共同生活援助(グループホーム)、障害者支援施設、療養介護 |
出典:新潟市「個別支援計画について」(集団指導資料) https://www.city.niigata.lg.jp/iryo/kenfuku/sidoukansa/syuudansidou/syougaisyuudan.files/R4kobetsushienkeikaku.pdf
モニタリングの結果は、定期的に記録として残します。見直しの結果、計画を変更することになった場合は、ステップ1〜3をもう一度行うのがルール。面接、原案づくり、会議、同意、交付という流れを、変更のたびにくり返すことになります。
見直しのときに何をもとに評価すればよいかは、後の章で詳しく取り上げるので、あわせて参考にしてください。
【残しておく書類】
- モニタリングの記録(実施日、面接の内容、計画を変更する必要があるかどうか)
個別支援計画の項目ごとの書き方とポイント

ここからは、個別支援計画の項目ごとに、書き方のポイントを解説します。どの項目もNG例とOK例を並べて紹介するので、自分の計画と見比べながら読んでみてください。
取り上げる項目は、次の6つ。
- 本人の希望
- 課題
- 総合的な支援の方針
- 目標(長期目標・短期目標)
- 支援内容
- 留意事項
なお、この章で紹介する例は、すべて架空のものです。
希望は本人の言葉のまま書く
希望の欄には、本人が話した言葉をできるだけそのまま書きましょう。職員が言い換えたり、きれいにまとめたりする必要はありません。
職員の言葉にまとめてしまうと、本人が何を望んでいるのかが見えにくくなるためです。省令でも、計画づくりにあたっては本人の自己決定を尊重し、意思や好みを丁寧に把握することが求められています。
| NG例 | なぜNGか | OK例 |
|---|---|---|
| 自立した生活を送りたい | 職員の言葉にまとめられていて、本人が何を望んでいるかわからない | 「自分でご飯を作れるようになりたい」(本人) |
また、本人の希望と家族の希望は、分けて書くのが基本。家族の思いが本人の希望のように書かれてしまうと、本人の気持ちが見えなくなってしまいます。
言葉で思いを伝えることが難しい方の場合は、選んだものや表情などから読み取れた事実を書きます。たとえば、「写真から園芸を2回続けて選んだ」といった書き方です。そのうえで、「園芸に関心があると考えられる」といった職員の解釈は、事実とは分けて書くようにしましょう。
厚生労働省の意思決定支援ガイドラインでも、日常の表情や行動から読み取れる本人の意思を、継続的に記録していくことの大切さが示されています。
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第58条第2項・第3項 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8467&dataType=0&pageNo=1
出典:厚生労働省「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(平成29年3月31日 障発0331第15号) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000159854.pdf
課題は「支援が必要なこと」として書く
課題の欄には、希望をかなえるために「どこに支援が必要か」を書きます。本人の欠点を並べる欄ではない点に注意が必要です。
| NG例 | なぜNGか | OK例 |
|---|---|---|
| 金銭管理ができない | 欠点の指摘になっていて、どう支援すればいいかがわからない | 1か月分のお金を計画的に使うことに支援が必要。1週間分なら自分で管理できている |
課題だけでなく、強みやできていることも一緒に書いておきましょう。課題ばかりが並んだ計画は、本人や家族にとって否定的な書類に見えてしまうもの。OK例のように「1週間分なら自分で管理できている」と添えるだけで、支援の出発点がはっきりします。
書き終えたら、課題が本人の希望とつながっているかも確認してください。希望と関係のない課題が並んでいる場合は、職員の視点だけで書いてしまっている可能性があります。
方針には見立てと支援の進め方を書く
総合的な支援の方針には、「本人をどう見立てているか」と「どう支援を進めるか」を、事業所を主語にして書きます。見立てとは、本人の特性や強み、困りごとを、支援する側がどうとらえているかということ。
| NG例 | なぜNGか | OK例 |
|---|---|---|
| 本人に寄り添った支援を行う | どの計画にも当てはまり、支援の進め方がわからない | 目で見て理解することが得意なため、作業の手順を写真で示し、一人でできる工程を少しずつ増やしていく |
OK例のように、本人の特性をどう生かすかを入れると、目標や支援内容とのつながりが見えやすくなります。あわせて、サービス等利用計画でこの事業所に求められている役割と、ずれていないかも確認しておきましょう。
目標は本人を主語にし期限と確かめ方を入れる
目標は本人を主語にし、「いつまでに」「どうなれば達成か」がわかるように書きます。
目標は、長期目標と短期目標の2段階で立てるのが一般的です。長期目標はおおむね1年、短期目標は次の見直しまでを目安に考え、短期目標を積み重ねた先に長期目標がある関係にしておきましょう。なお、この期間は省令で決められたものではなく、一般的な目安です。
| NG例 | なぜNGか | OK例 |
|---|---|---|
| 規則正しい生活を送る | 何ができれば達成なのか確かめられない | 3か月後までに、週4日以上、朝8時半までに事業所に着く |
よく使われるあいまいな言葉は、次のように言い換えると、達成できたかどうかを確かめやすくなります。
| あいまいな言葉 | 言い換えの例 |
|---|---|
| 穏やかに過ごす | 不安なときに休憩カードを見せて、静かな部屋へ移動できる |
| 活動に参加する | 2つの活動から1つを選び、10分参加する |
| 健康を維持する | 到着時に体調カードを選び、不調の日は活動量を減らす |
| コミュニケーションを増やす | 写真や指さしで、1日1回希望を伝える |
※言い換えの例に出てくる数字は、架空のものです。
ここで気をつけたいのは、数字を「本人を評価するため」ではなく「変化を確かめるため」に使うこと。体調や本人の気持ちを無視して、達成だけを求めるのは避けましょう。
また、「欠席ゼロ」のような目標も、おすすめできません。1回欠席しただけで未達成になってしまい、それまでの頑張りが見えなくなるからです。
支援内容は「誰が・いつ・どのように」まで書く
支援内容は事業所を主語にし、「誰が・いつ・どのように・何のために」支援するかまで書きます。なお、「具体的な支援内容」や「担当者」は、省令が原案に書くよう定めている項目には含まれていません。支援の中身をはっきりさせるために、様式の中で一般的に設けられている項目です。
| NG例 | なぜNGか | OK例 |
|---|---|---|
| コミュニケーションの支援を行う | 誰が・いつ・どのように支援するのかがわからない | 【主担当:生活支援員Aさん】毎朝の到着時に、写真カードでその日にやりたいことを一緒に選ぶ。自分の希望を伝える機会を増やすため |
担当者欄には、「全職員」ではなく主担当を書くことが大切。担当があいまいだと、「誰かがやるだろう」と思われ、実際には支援が行われないおそれがあります。回数や頻度が、職員の配置やシフトと矛盾していないかも確認しておきましょう。
また、加算によっては、支援内容を計画に書いておくことが求められるものもあります。詳しくは、加算について解説した記事を参考にしてください。
(内部リンク:https://fukushi-raku.com/2026/05/15/facilities-disabilities-addition/ )
支援内容を具体的に書いておくと、日々の記録で「計画どおりに支援できたか」を確かめやすくなります。この記録は、見直しのときの大切な材料にもなるはずです。
留意事項には配慮と本人の役割を書く
留意事項には、支援するときに配慮することと、本人が担う役割を書きます。
| NG例 | なぜNGか | OK例 |
|---|---|---|
| 本人が努力する | 本人に責任を負わせる書き方になっている | 疲れたときは休憩カードで伝える(本人の役割)。大きな音が苦手なため、作業場所は壁側の席にする(配慮) |
本人の役割といっても、本人に責任を負わせるものではありません。「選ぶ」「伝える」「休む」など、本人が主体的に関われる部分を書くのがポイント。
健康面や医療面の配慮は、主治医や看護職員の指示と食い違わないように書きましょう。職員の推測で、配慮の内容を書き加えるのは避けてください。
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第58条第5項 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8467&dataType=0&pageNo=1
就労系・グループホーム・生活介護の記入例

ここからは、サービスの種類ごとに記入例を紹介します。個別支援計画の基本的な書き方はどのサービスでも共通です。ただ、計画で重点を置くポイントや見直しの頻度は、サービスによって変わります。まずは違いを表で確認しておきましょう。
| サービス種別 | 計画の重点 | 見直しの頻度 |
|---|---|---|
| 就労継続支援A型・B型 | 作業・働き方、本人のペース、一般就労への段階 | 6か月に1回以上 |
| 就労移行支援 | 一般就労に向けた期限つきの段階的な目標 | 3か月に1回以上 |
| 共同生活援助(グループホーム) | 朝から夜までの生活全般、日中の事業所との連携 | 6か月に1回以上 |
| 生活介護 | 介護と日中活動、本人が行う動作 | 6か月に1回以上 |
この章で紹介する記入例は、次の4つ。
- 就労継続支援A型・B型の例
- 就労移行支援の例
- 共同生活援助(グループホーム)の例
- 生活介護の例
なお、記入例に登場する人物や内容は、すべて架空のものです。実際の計画は、本人への聞き取りをもとに作成してください。
就労継続支援A型・B型の例
就労継続支援の計画では、作業や働き方に関する目標を、本人のペースと希望に合わせて書くのが基本です。事業所の都合で目標を決めるのではなく、「どんな働き方をしたいか」を出発点にしましょう。
A型とB型は、事業所と結ぶ契約の形が違います。そのため、書くときに気をつける点も異なるのがポイント。
【A型で気をつけること】
A型は、事業所と雇用契約を結んで働くサービスです。利用者は労働者として働くため、最低賃金などの労働に関するルールが適用されます。計画に書く利用日数や時間は、雇用契約で決めた労働時間と食い違わないようにしておきましょう。
【B型で気をつけること】
B型は、雇用契約を結ばずに作業を行うサービスです。作業の対価として受け取るお金は「工賃」と呼ばれます。工賃の目標を計画に入れる場合は、本人の希望や体調に合わせることが大切。事業所全体の工賃目標を、そのまま本人に当てはめないよう気をつけましょう。
【A型・B型に共通すること】
一般就労(企業などに雇われて働くこと)を希望する人は、長期目標にそのことをはっきり書きます。そのうえで、短期目標を段階に分けて書くと、支援の道筋が見えやすくなるでしょう。
また、企業などの事業所の外で作業を行う「施設外就労」を取り入れる場合は、その内容を含めた計画を事前に作っておくことが国の通知で求められています。
B型の利用者の記入例は、次のとおり。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 本人の希望 | 「お菓子の袋詰めの仕事を続けて、工賃で好きなCDを買いたい」 |
| 家族の希望 | 「体調を崩さず、週4日通えるようになってほしい」 |
| 課題 | 午後に疲れて作業が止まることがある。袋詰めの手順は一人でできている |
| 総合的な支援の方針 | 得意な袋詰めを中心に、疲れる前に休憩をとる習慣をつけ、週4日の通所を安定させる |
| 長期目標(1年) | 週4日通所し、袋詰めの作業を一人で続けられる |
| 短期目標(6か月) | 疲れたときに自分から休憩を伝え、休憩後に作業へ戻れる |
| 支援内容 | 【主担当:職業指導員Bさん】作業開始時に休憩カードの使い方を確認する。14時に体調を一緒に確認し、必要なら10分休憩する |
| 留意事項 | 休憩カードで伝える(本人の役割)。長い口頭説明は疲れやすいため、指示は短く区切る |
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/shurou.html
出典:佐賀県「施設外就労に係る留意事項」 https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003110118/3_110118_up_jbv3luvx.pdf
就労移行支援の例
就労移行支援の計画では、一般就労というゴールに向けて、期限を区切った目標を段階的に書きます。ほかのサービスとの大きな違いは、見直しの頻度と、利用できる期間です。
見直しは、少なくとも3か月に1回。短期目標も、3か月以内に達成できたかどうかを確かめられる内容にしておきましょう。
また、就労移行支援には「標準利用期間」(利用できる期間の目安)があり、原則2年とされています。長期目標は、この利用期間全体を見通して書くのがコツ。職場実習や企業見学など、事業所の外での活動も支援内容に盛り込むと、就職までの流れが具体的になります。
一般就労をめざす利用者の記入例を見てみましょう。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 本人の希望 | 「事務の仕事に就いて、一人暮らしをしたい」 |
| 家族の希望 | 「無理をせず、長く続けられる職場を見つけてほしい」 |
| 課題 | パソコンでの入力作業は正確にできている。電話対応や、わからないことを人に聞くことに不安が強い |
| 総合的な支援の方針 | 得意な入力作業を強みとして生かしながら、報告・相談の練習を段階的に行い、職場実習を経て事務職への就職をめざす |
| 長期目標(利用期間全体) | 事務職として一般企業に就職し、働き続けられる |
| 短期目標(3か月) | わからないことがあったとき、決めた言い方で職員に質問できる。企業見学に1社参加する |
| 支援内容 | 【主担当:就労支援員Cさん】毎週水曜14時に、質問や報告の練習を行う(言い方のカードを使う)。月1回、本人と求人情報を確認し、見学先を一緒に選ぶ |
| 留意事項 | 質問したいときは「確認したいことがあります」と声をかける(本人の役割)。電話対応は、慣れるまで練習を重ねてから実習に取り入れる |
出典:金沢市「自立訓練・就労移行支援(有期限サービス)の利用期間について」 https://www4.city.kanazawa.lg.jp/material/files/group/52/hyoujunnkikann.pdf
共同生活援助(グループホーム)の例
グループホームの計画では、朝から夜までの暮らし全体を見て、生活の中で自分でできることを増やす目標を書きます。起床、食事、服薬、入浴、お金の管理など、生活の場面ごとに支援を書き分けると、職員の動きがはっきりするでしょう。
日中は、就労継続支援や生活介護など、別の事業所に通う人もいます。グループホームには、こうした日中の事業所と連絡を取り合う役割もあるため、情報共有の方法を支援内容に入れておくことが大切です。
また、世話人や生活支援員など、誰がどの場面を担当するのかを分けて、担当者欄に書きましょう。
服薬など医療に関わる支援は、主治医の指示に基づいて行うことが前提。薬の飲み方を職員の判断で変えるような支援内容は書かないようにしてください。
日中は就労継続支援B型に通う利用者の記入例です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 本人の希望 | 「薬を自分で管理できるようになりたい」 |
| 家族の希望 | 「飲み忘れがないよう、見守ってほしい」 |
| 課題 | 朝と夜の薬は職員の声かけで飲めている。自分で時間に気づいて飲むことに支援が必要 |
| 総合的な支援の方針 | アラームとチェック表を使い、職員の声かけを少しずつ減らしながら、服薬の自己管理に近づける。日中に通うB型事業所とも情報を共有する |
| 長期目標(1年) | 朝と夜の薬を、職員の声かけなしで飲める |
| 短期目標(6か月) | アラームが鳴ったら自分で薬を飲み、チェック表に印をつけられる |
| 支援内容 | 【主担当:生活支援員Dさん】朝7時・夜8時にアラームを設定し、服薬後にチェック表を一緒に確認する。【サビ管】月1回、日中のB型事業所と服薬や体調の様子を共有する |
| 留意事項 | 飲んだらチェック表に印をつける(本人の役割)。薬の種類や量の変更は、主治医の指示に従い、職員間ですぐに共有する |
出典:厚生労働省「共同生活援助」概要資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000670104.pdf
生活介護の例
生活介護の計画では、食事・排せつ・入浴などの介護と日中活動について、本人が自分でできる部分と職員が支援する部分を分けて書きます。介護が必要な場面でも、「全介助」とだけ書くのは避けたいところ。本人が行える動作を具体的に書いておくと、できることを守り、増やす支援につながります。
令和6年度の改定で、生活介護の報酬(事業所に支払われる費用)は、サービスを提供する時間によって区分されるようになりました。区分のもとになるのは、実際に利用した時間ではなく、個別支援計画に定めた「標準的な時間」。そのため、計画の中でこの時間を定めておく必要があります。送迎にかかる時間は原則として含まない点にも注意が必要です。
計画に書いた時間と実際の利用時間が合わない状態が続く場合は、計画の見直しを検討しましょう。また、医療面の配慮は、看護職員や主治医の指示と食い違わないように書くことが大切です。
ここでは、トイレ動作の一部を自分で行うことをめざす利用者を例にします。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 本人の希望 | 「トイレでズボンの上げ下げを自分でしたい」 |
| 家族の希望 | 「できることは自分でしながら、安全に過ごしてほしい」 |
| 課題 | 手すりにつかまれば立っていられる。ズボンの上げ下げは職員が行っているが、片手での上げ下げは練習すればできそうな様子がある |
| 総合的な支援の方針 | 安全を確保しながら、トイレ動作のうち本人ができる部分を少しずつ増やし、自分でできたという実感を大切にする |
| 長期目標(1年) | 手すりにつかまって、ズボンの上げ下げを自分で行える |
| 短期目標(6か月) | 職員がそばで見守る中で、ズボンを下げる動作を自分で行える |
| 支援内容 | 【主担当:生活支援員Eさん】トイレのたびに、手すりの位置と立つ姿勢を一緒に確認する。本人が動作を始めるまで少し待ち、できない部分だけを支援する |
| 標準的な利用時間 | 本人の利用予定をもとに記入する(例:月・水・金、10時〜15時。送迎の時間は含まない) |
| 留意事項 | 手伝ってほしいときは合図で伝える(本人の役割)。ふらつきがある日は無理をせず、職員が支援する。移乗や姿勢の注意点は、看護職員や理学療法士の助言に沿う |
出典:横浜市「生活介護サービス費 基本報酬算定の考え方について」 https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/fukushi-kaigo/fukushi/syuudannsidou.files/0105_20260715.pdf
2回目以降の計画は前回の結果を振り返って書き直す

個別支援計画は、一度作れば終わりではありません。見直しのたびに、前回の計画の結果をふまえて新しい計画を作ります。このとき、前回の文章を少し直すだけで済ませてしまうのは避けたいところ。本人の変化が計画に反映されず、同じ目標が何年も続く原因になります。
2回目以降の計画は、次の3つの手順で書き直すとスムーズです。
- 前回の目標ごとに記録から変化を振り返る
- できなかったときは理由を確かめる
- 振り返りの結果で目標と支援内容を書き直す
前回の目標ごとに記録から変化を振り返る
書き直しは、前回の短期目標ごとに、日々の記録から本人の変化を読み取るところからスタート。省令でも、計画を作ったあとは実施状況を把握し、定期的に本人と面接してその結果を記録することが求められています。
記録から読み取りたいのは、次の3つです。
- 目標に近づいたか
- 計画どおりに支援を実施できたか
- 支援に対して本人がどう反応していたか
ここで困るのが、記録が「作業に参加。問題なし」のように短すぎるケース。これでは、目標に近づいているのかどうかがわかりません。日ごろから「職員が何をしたか」と「本人がどう反応したか」をセットで残しておきましょう。
記録の書き方の例は、次のとおり。
| NG例 | なぜNGか | OK例 |
|---|---|---|
| 作業に参加。問題なし | 目標(疲れたときに休憩を伝える)に近づいているのか読み取れない | 【短期目標:休憩を自分から伝える】14時40分、手が止まった後に自分から休憩カードを出した。10分休憩した後、作業に戻り袋詰めを続けた |
あわせて、本人との面接で、本人自身が感じている変化も聞き取ります。「休憩を伝えるのは楽になった」「まだ言い出しにくいときがある」など、記録だけでは見えない本人の声が、次の計画の手がかりになるはずです。
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第58条第9項・第10項 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8467&dataType=0&pageNo=1
できなかったときは理由を確かめる
目標を達成できなかったときは、次の計画を書く前に、その理由を確かめましょう。理由によって、書き直し方が変わるからです。
確かめる観点は、主に次の4つ。
| 観点 | 確かめること |
|---|---|
| 目標の高さ | 次の見直しまでに達成できる目標だったか |
| 支援の方法 | 計画した支援を実施できたか。方法が本人に合っていたか |
| 環境 | 時間帯、場所、関わる人に原因がなかったか |
| 本人の希望 | 希望や気持ちに変化がないか |
大切なのは、本人の努力不足と決めつけないことです。目標が高すぎたり、支援の方法が合っていなかったりするケースもよくあります。原因を本人だけに求めると、同じ目標と支援をくり返すことになりかねません。
また、本人の状態が大きく変わったときは、予定の見直し日を待たずに見直しましょう。たとえば、次のような場面です。
- 入院や退院をした
- 必要な支援の量が大きく変わった
- 本人から新しい希望が出てきた、または今の支援を嫌がるようになった
省令では、見直しは「少なくとも」6か月に1回とされています。予定日より前に見直すことに問題はなく、必要なときに計画を変えられるようにしておくことが大切です。
振り返りの結果で目標と支援内容を書き直す
振り返りの結果に応じて、目標と支援内容を書き直します。前回と同じ文章をそのまま使い回すのは避けましょう。
結果ごとの書き直し方は、次のとおり。
| 振り返りの結果 | 次の計画での書き直し方 |
|---|---|
| 達成できた | 次の段階の目標にする |
| 一部できた | 目標はそのままにして、支援の方法を変える |
| できなかった | 目標を小さく分けるか、支援の方法を見直す |
| 本人の希望が変わった | 希望の欄から書き直す |
前の章で紹介したB型の利用者を例に、書き直しのイメージを見てみましょう(内容は架空のものです)。
| 項目 | 前回の計画 | 振り返りの結果 | 今回の計画 |
|---|---|---|---|
| 短期目標 | 疲れたときに自分から休憩を伝え、休憩後に作業へ戻れる | 多くの日で、自分から休憩カードを出せていた(達成) | 午後の作業を、休憩1回をはさんで終わりの時間まで続けられる |
| 支援内容 | 14時に体調を一緒に確認し、必要なら10分休憩する | 職員が声をかける前に、本人から伝えられる日が増えた | 14時の体調確認はやめ、本人から休憩の合図があったときに対応する。作業の終わりに、その日の頑張りを一緒に振り返る |
同じ目標を続ける場合も、振り返りでわかった変化を、方針や支援内容に反映させることが大切。「なぜこの目標を続けるのか」が読み手に伝わるように書きます。
なお、内容に大きな変更がない場合に、新しい期間の計画をどのような手順で作るかは、自治体によって運用が異なることがあります。迷ったときは、指定権者(事業所の指定を行った都道府県や市など)に確認しておくと安心です。計画を作るときの基本の手順は、「個別支援計画は4つのステップで作る」の章で解説していますので、あわせてご覧ください。
書き直しの作業は、前回の計画と日々の記録を並べて見られると、ぐっと楽になります。計画と記録を同じ場所で扱える仕組みもあるので、検討してみてはいかがでしょうか。
(内部リンク:https://fukushi-raku.com/2026/05/15/individualized-support-plan-system-comparison/ )
(内部リンク:https://fukushi-raku.com/2026/07/28/improving-operational-efficiency-specific-methods-and-tips/ )
運営指導の指摘と減算はセルフチェックで防げる
運営指導で指摘される不備の多くは、「手順と日付」と「内容の具体性」を定期的に点検することで防げます。
特に気をつけたいのが、「個別支援計画未作成減算」。国の通知では、サビ管の指揮のもとで計画が作られていない場合に加えて、計画づくりに関わる一連の業務が適切に行われていない場合も、減算の対象とされています。つまり、計画書があっても、手順が抜けていれば減算になる可能性があるということです。減算は該当する利用者ごとにかかり、割合は次のとおり。
| 減算が適用されている期間 | 算定される単位数 |
|---|---|
| 適用された月から2月目まで | 所定単位数の70% |
| 3月目以降(連続している場合) | 所定単位数の50% |
最新の取り扱いは、報酬の告示や自治体の案内もあわせて確認しておくと安心です。
手順だけでなく、計画の中身も確認されます。函館市が公表した運営指導の指摘事項には、アセスメントやモニタリングの結果が計画に反映されていない例や、支援の記録に同じ文章がくり返し写されている例が挙がっていました。省令でも、支援が漫然と画一的なものにならないよう配慮することが求められています。
こうした不備を防ぐために、日ごろの点検に使えるチェックリストをまとめました。「詳しくは」の列には、説明している章を示しています。
| 分類 | チェック項目 | 確認すること | 詳しくは |
|---|---|---|---|
| 手順と日付 | 面接の記録 | サビ管が本人と面接した日と内容が記録されているか | 4つのステップ(面接して聞き取る) |
| 手順と日付 | 原案と会議 | 原案と会議の記録(開催日・参加者・内容)があり、本人を招いているか | 4つのステップ(原案と会議) |
| 手順と日付 | 同意 | 本人(または家族)の文書による同意と、同意日があるか | 4つのステップ(同意と交付) |
| 手順と日付 | 交付 | 本人と相談支援事業所に交付した日と交付先の記録があるか | 4つのステップ(同意と交付) |
| 手順と日付 | 作成者 | 計画の作成者がサービス管理責任者になっているか | 4つのステップ |
| 手順と日付 | 見直しの期限 | 期限内(6か月または3か月以内)に見直しているか | 4つのステップ(見直し) |
| 手順と日付 | 日付の順番 | 面接 → 原案 → 会議 → 同意 → 交付の順になっているか | 4つのステップ |
| 内容 | 希望 | 本人の言葉で書かれているか | 項目ごとの書き方 |
| 内容 | 目標 | 本人が主語で、期限と確かめ方があるか | 項目ごとの書き方 |
| 内容 | 支援内容 | 誰が・いつ・どのように、まで書かれているか。主担当が明記されているか | 項目ごとの書き方 |
| 内容 | 個別性 | 利用者全員が同じような計画になっていないか | 項目ごとの書き方 |
| 内容 | 更新 | 前回の計画の写しになっていないか | 2回目以降の計画 |
| 内容 | 加算 | 算定する加算に必要な内容が書かれているか | 加算の解説記事 |
(「加算の解説記事」の内部リンク:https://fukushi-raku.com/2026/05/15/facilities-disabilities-addition/ )
手順を実際に行っていても、記録が残っていなければ、第三者はそれを確かめられません。面接や会議、同意、交付のたびに、日付と内容を残す習慣をつけておきましょう。
まずは直近の数件の計画を、このチェックリストで見直してみてください。抜けている記録や、似通った計画が見つかったら、次の見直しのタイミングで一つずつ改善していくのがおすすめです。
出典:厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 第15回(平成29年11月27日)資料2「横断的事項について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12204500/0000186175.pdf
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第57条・第58条 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8467&dataType=0&pageNo=1
出典:函館市「運営指導時の主な指摘事項について(令和5・6年度)」 https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2025020600045/file_contents/R6siryo1.pdf
個別支援計画の書き方でよくある質問

最後に、個別支援計画づくりで迷いやすい質問をまとめました。
- サービス等利用計画とは何が違う?
- 本人の同意が得られないときは?
- 電子署名での同意は認められる?
- 計画や記録はいつまで保存する?
サービス等利用計画とは何が違う?
サービス等利用計画は相談支援専門員が作る「利用するサービスの組み合わせ」の計画、個別支援計画はサビ管が作る「事業所での日々の支援」の計画です。
サービス等利用計画は、相談支援事業所の相談支援専門員(障害福祉サービスの利用について相談にのり、計画を作る専門職)が作成するもの。市町村は、この計画案をもとに、どのサービスをどのくらい使えるかを決めます。個別支援計画は、このサービス等利用計画を踏まえて、各事業所で作るのが基本です。
| サービス等利用計画 | 個別支援計画 | |
|---|---|---|
| 作る人 | 相談支援事業所の相談支援専門員 | 事業所のサービス管理責任者 |
| 計画の中身 | どのサービスを、どのくらい組み合わせて使うか | 事業所で、誰が・いつ・どのように支援するか |
| 主な使い道 | 市町村がサービスの支給を決めるときの判断材料 | 事業所での日々の支援の土台 |
2つの計画の内容がずれないよう、相談支援専門員と情報を共有しておくことが大切です。なお、個別支援計画は、完成したら相談支援事業所にも渡すことが省令で定められています。
出典:厚生労働省「障害者の相談支援等について」関連資料 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000096743.pdf
出典:秋田市「個別支援計画について」(集団指導資料) https://www.city.akita.lg.jp/_res/projects/default_project/page/001/017/118/r43-1.pdf
本人の同意が得られないときは?
同意が得られない計画のまま、支援を始めることはできません。納得できない点を聞き取り、計画を修正してから、改めて同意を求めましょう。省令でも、原案の内容を本人または家族に説明し、文書で本人の同意を得ることが求められています。
同意が得られない事態を防ぐには、完成した計画を見せる前の、原案の段階で本人と一緒に読み合わせるのが効果的。本人の意見をその場で反映できるため、「知らないうちに決められた」という不満も生まれにくくなるでしょう。
意思を示すことが難しい方の場合、家族など代理の方の同意をどう扱うかは、自治体によって運用が異なる場合があります。事前に指定権者(事業所の指定を行った都道府県や市など)に確認しておくと安心です。
それでも合意できないときは、相談支援専門員と連携して調整しましょう。サービスの組み合わせそのものを見直したほうがよい場合もあります。
電子署名での同意は認められる?
電子署名などの電子的な方法による同意は、本人の承諾を得たうえで行うことが省令で認められています。
根拠となるのは、省令の第224条。書面で行うことになっている交付・説明・同意などは、相手の承諾を得れば、電子的な方法に置き換えられるという規定です。相手が利用者本人の場合は、障害の特性に合わせた配慮も求められます。たとえば、画面の文字が読みにくい方や、操作に不安がある方には、紙での説明をあわせて行うといった工夫が考えられるでしょう。
ただし、どのような電子署名の方法なら認められるかなど、細かな運用は自治体によって異なる場合があります。導入する前に、所管の自治体に確認しておきましょう。
出典:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第224条 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
計画や記録はいつまで保存する?
個別支援計画やサービス提供の記録は、サービスを提供した日から5年間の保存が省令で定められています。
この規定は生活介護にも当てはめられており、日々のサービス提供の記録も保存の対象です。また、自治体の条例で、5年より長い保存期間が定められている場合もあります。所管の自治体のルールもあわせて確認しておきましょう。
電子データで保存する場合も、運営指導のときにすぐ見せられる状態にしておくことが大切です。
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第75条・第93条 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8467&dataType=0&pageNo=1
個別支援計画は「希望から書き、記録で見直す」が基本
個別支援計画は、本人の希望を出発点に書き、日々の記録をもとに見直していくことで、現場で使える計画になります。この記事で紹介したポイントを、改めて振り返っておきましょう。
- 必ず書く5つの項目は、本人の希望から順に書く
- 面接から見直しまでの4つのステップを踏み、記録と日付の順番を残す
- 目標は本人を主語にし、支援内容は「誰が・いつ・どのように」まで書く
- 2回目以降の計画は、前回の結果を振り返って書き直す
まずは直近の数件の計画を、「運営指導の指摘と減算はセルフチェックで防げる」の章で紹介したチェックリストで見直してみてください。
計画を書き直すときは、前回の計画と日々の記録を並べて見られると、作業の負担が軽くなります。紙やExcelで計画と記録を別々に管理している場合は、1か所で扱える仕組みを試してみるのも選択肢のひとつでしょう。
計画づくりを大がかりに変える必要はありません。本人の言葉を丁寧に聞き取り、日々の支援を記録し、定期的に振り返る——。その積み重ねが、本人の望む暮らしに近づくための計画につながっていくはずです。
