障害者グループホームの運営では、利用者一人ひとりの支援記録や毎月の請求業務など、こまかな事務作業が日々積み重なっていきます。「記録の転記に時間がかかる」「報酬の改定についていくのが大変」「拠点が増えて管理が追いつかない」。こうした悩みを抱えている運営者の方も多いのではないでしょうか。
こうした課題を解決してくれるのが、業務を効率化する専用のシステムです。記録から請求まで一つにまとめることで、職員の負担を大きく減らせます。本記事では、グループホームの業務をシステム化すべき理由から、システムでできること、失敗しない選び方までをわかりやすく解説します。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
Q1. 障害者グループホームの業務をシステム化すると何が変わる?
複数拠点の利用者情報や支援記録を一元管理でき、日々の記録から国保連請求まで自動で連動します。受給者証やモニタリングの期限通知、申し送りのリアルタイム共有も可能となり、事務作業が減って支援に時間を割けます。
Q2. システムの費用相場はどのくらい?
初期費用は0円〜数十万円、月額は数千円〜数万円が目安です。料金は施設単位・職員数単位・利用者数単位で決まり方が異なります。ICT導入の補助金を使えば初期費用を抑えられる場合もあります。
Q3. 失敗しないシステムの選び方は?
グループホームの業務に対応しているか、現場で使いやすいか、サポート体制が手厚いかを確認します。請求特化型・記録特化型・オールインワン型から自施設に合うタイプを選び、無料トライアルで試すのが確実です。
障害者グループホームの業務をシステム化すべき理由

そもそも、なぜグループホームの業務をシステム化したほうがよいのでしょうか。理由は大きく分けて次の3つです。
- 紙やエクセルでの運用には限界がある
- 事務作業が支援の時間を圧迫している
- 拠点や利用者の増加が管理者の負担になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
紙・Excel運用では業務対応の限界がある
多くの事業所では、利用者の記録や請求書類を紙やエクセル(表計算ソフト)で管理してきました。しかし、この方法では手作業が多く、どうしてもミスが起こりやすくなります。
たとえば、毎月の請求業務。サービスの提供実績をもとに国保連(国民健康保険団体連合会。介護や障害福祉の給付費をまとめて審査・支払いする団体)へ請求しますが、報酬の計算を手作業で行うと、計算ミスや入力漏れが発生しがちです。請求内容に誤りがあると「返戻」といって書類が差し戻され、再提出の手間が発生します。
加算(一定の条件を満たすと報酬が上乗せされるしくみ)の取りこぼしがあれば、本来受け取れるはずだった収入を逃してしまうことにもなりかねません。
さらに、同じ情報を複数の書類に何度も書き写す「転記作業」も、紙やエクセル運用ならではの非効率なポイント。一度入力した内容が別の帳票に自動で反映されないため、書類ごとに同じ作業をくり返すことになります。記録の保管場所もかさばり、必要なときに探し出すのにも手間がかかるでしょう。
事務作業が支援の時間を圧迫している
グループホームの本来の仕事は、利用者と向き合い、その方が望む暮らしを実現できるよう支援することです。ところが、記録や請求といった事務作業に追われてしまうと、肝心の支援に使える時間が削られてしまいます。
特に、日中の業務を終えてから事務作業に取りかかり、残業して書類をまとめている職員も少なくないはず。手書きの記録を事業所に持ち帰ってパソコンに入力し直す、といった二度手間が発生しているケースもあります。
システムを導入すれば、その場でタブレットやスマートフォンから記録を入力でき、入力した内容は関連する書類へ自動で反映されます。事務作業にかかる時間が減れば、その分を利用者との関わりにあてられるようになり、支援の質の向上にもつながります。
拠点や利用者増加が管理者の負担となる
事業が順調に成長し、グループホームの拠点が増えたり利用者が増えたりすると、それにともなって管理すべき情報の量も一気にふくらみます。
紙やエクセルでの管理では、拠点ごとに書類がバラバラに保管され、全体の状況を把握するだけでも一苦労。利用者一人ひとりの受給者証(障害福祉サービスを利用するために必要な証明書)の有効期限を、手作業で管理するのも限界があります。期限切れに気づかず請求できなくなる、といったトラブルも起こりかねません。
その点、システムを使えば複数の拠点の情報を一か所にまとめて管理でき、どこからでも最新の状況を確認できます。受給者証の期限が近づくと自動で知らせてくれる機能を備えたものもあり、管理者の負担を大きく軽減してくれるでしょう。事業の拡大を見据えるなら、早い段階でのシステム化が安心です。
グループホーム(共同生活援助)の業務がシステム化で変わること

実際にシステムを導入すると、日々の業務はどのように変わるのでしょうか。ここでは、システム化によって得られる代表的な変化を4つ紹介します。
- 複数拠点の利用者情報・支援記録を一元管理できる
- 支援記録から国保連請求まで自動で連動する
- 個別支援計画やモニタリングの期限・進捗が見えやすくなる
- 申し送りや情報共有をリアルタイムで行える
順番に解説していきます。
複数拠点の利用者情報・支援記録が一元管理できる
システムを使う大きなメリットの一つが、情報を一か所にまとめて管理できる点です。利用者の基本情報や日々の支援記録、受給者証の内容などを、すべて同じシステム上で扱えます。
複数の拠点を運営している場合でも、それぞれの情報がバラバラになりません。管理者は事務所にいながら、どの拠点の状況もすぐに確認できます。クラウド型(インターネットを通じて使うタイプ)のシステムなら、外出先や自宅からでもアクセスでき、場所を選ばず情報を見られるのも便利なところ。紙の書類を探し回る必要がなくなり、必要な情報にすぐたどり着けます。
支援記録から国保連請求まで自動で連動する
システム化による効果が特に大きいのが、記録と請求のつながりです。日々のサービス提供実績を入力しておくと、その内容をもとに国保連へ提出する請求データが自動で作られます。
手作業で報酬を計算したり、実績を請求書類に書き写したりする必要がありません。入力ミスや計算ミスが減るため、返戻(書類の差し戻し)のリスクも下がります。多くのシステムには、請求前に内容の誤りを知らせてくれるチェック機能も備わっており、加算の取りこぼしや過誤請求を防いでくれます。
利用者へ請求する自己負担分や、食費・家賃といった実費の請求書も、同じデータから自動で作成できるものが大半です。請求業務にかかっていた時間と労力を、大幅に減らせるでしょう。
個別支援計画やモニタリングの期限・進捗が見えやすくなる
グループホームでは、利用者一人ひとりに合わせた個別支援計画(その方の目標や支援内容をまとめた計画書)を作成し、定期的に見直す必要があります。この見直しのことを「モニタリング」と呼びます。
これらの作業には期限が定められており、うっかり作成や更新を忘れると、減算(報酬が差し引かれること)につながるおそれも。手作業で多くの利用者の期限を管理するのは、なかなか骨の折れる仕事です。
システムを導入すれば、計画の作成状況や次回のモニタリング予定が画面上でひと目でわかります。期限が近づくと自動で知らせてくれる機能もあり、「気づいたら過ぎていた」というミスを防げます。日々の支援記録と計画が結びつくことで、計画にそった支援がきちんと行われているかの確認もしやすくなるでしょう。
申し送り・情報共有がリアルタイムで共有できる
グループホームは、複数の職員が交代で勤務する職場です。そのため、利用者の体調の変化や対応した出来事などを、職員どうしで正確に伝え合う「申し送り」がとても重要になります。
口頭やノートでの申し送りでは、伝え忘れや認識のずれが起こりがち。勤務時間が重ならない職員には、情報が届きにくいという問題もあります。
システムを使えば、入力した記録や連絡事項がその場で全職員に共有されます。スマートフォンやタブレットから確認できるため、出勤してすぐに最新の状況を把握できるのも安心です。利用者の家族と情報を共有できる機能を備えたシステムもあり、写真などを使って日々の様子を伝えれば、家族との信頼関係を深めることにもつながります。
システムでできる主な機能
ここからは、グループホーム向けのシステムに搭載されている主な機能を具体的に見ていきます。代表的なものは次の4つです。
- 支援記録・申し送り機能
- 国保連請求・実績管理機能
- 個別支援計画・モニタリング機能
- 勤怠・シフト・送迎などの周辺業務管理機能
それぞれどんなことができるのか、順に説明します。
支援記録・申し送り機能
利用者の日々の様子を記録し、職員どうしで共有するための機能です。バイタル(体温や血圧などの健康状態を示す数値)や食事、入浴、服薬、排せつといった日常の出来事を、その場で入力できます。
あらかじめ用意されたテンプレート(記入用のひな型)から選んで入力できるものが多く、手書きが苦手な職員でもスムーズに記録を残せます。最近では、話した内容をそのまま文字にしてくれる音声入力や、AI(人工知能)が文章を整えてくれる機能を備えたシステムも増えてきました。入力した記録はすぐに全職員へ共有され、申し送りもれを防げます。
国保連請求・実績管理機能
毎月の請求業務を自動化してくれる機能です。日々のサービス提供実績を入力しておくと、その内容をもとに国保連へ提出する請求データが自動で作られます。
複雑な報酬の計算や、複数の事業所をまたぐ場合の上限管理(利用者の自己負担額が一定額を超えないよう調整するしくみ)も、システムが処理してくれます。請求前に内容の誤りを知らせるエラーチェック機能がついているものも多く、返戻や過誤請求を未然に防げるのが心強いところ。
インターネットを通じて請求データをそのまま送信できる伝送機能を備えたシステムなら、別の伝送ソフトを用意する必要もありません。利用者への請求書や領収書の発行にも対応しています。
個別支援計画・モニタリング機能
計画書類の作成をサポートしてくれる機能です。個別支援計画やモニタリング報告書を、システム上で効率よく作成できます。
過去のデータや日々の支援記録から内容を引用できるため、一から書き起こす手間が省けます。計画書のフォーマット(書式)は、地域や自治体によって異なることがありますが、複数の様式に対応したシステムなら、必要な書式に合わせて作成可能です。次回のモニタリング予定日を知らせてくれる通知機能がついていれば、更新忘れによる減算のリスクも減らせるでしょう。
勤怠・シフト・送迎などの周辺業務管理機能
記録や請求以外の、運営にまつわるさまざまな業務をサポートする機能です。職員の出退勤を記録する勤怠管理や、人員配置の基準を満たしているかを確認しながら組めるシフト作成機能などがあります。
システムによっては、勤務実績をもとに給与計算まで行えるものや、利用者の送迎スケジュールを管理できるものも。誰がいつどこへ送迎するのかが一目でわかるため、現場の混乱を防げます。さらに、工賃(利用者が作業に応じて受け取る報酬)の計算や、日々の経費の精算といったお金まわりの管理に強みを持つシステムもあります。
自分たちの事業所で必要な業務に合わせて、機能を選んでいくとよいでしょう。
障害者グループホームがシステム導入を判断する時のポイント
システムの導入には費用がかかるため、自分たちの事業所にとって本当に必要かどうか、慎重に見きわめたいところです。導入を判断するときは、次の4つのポイントをチェックしてみてください。
- 自施設の規模や拠点数で効果が出そうか
- 削減できる事務時間が月額コストに見合うか
- 予算内で導入できる費用帯か
- 現場の人が使えるか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自施設の規模や拠点数で効果がでそうか
システム導入の効果は、事業所の規模によって変わってきます。複数の拠点を運営していたり、利用者が多かったり、事務作業の負担が大きかったりする事業所ほど、システム化による効果を実感しやすいでしょう。
一方で、利用者がごく少数の単一拠点であれば、手作業でも十分に対応できるケースもあります。そうした場合は、無理に急いで導入する必要はありません。まずは現状の事務負担がどの程度かを見つめ直し、今後の事業拡大の予定もふまえたうえで判断するのがおすすめです。将来的に拠点を増やす計画があるなら、早めに導入しておくことで、後々の管理がぐっと楽になります。
削減できる事務時間が月額コストに見合うか
システムを導入する目的は、業務を効率化して職員の負担を減らすことにあります。そこで考えたいのが、システムによってどれくらいの事務時間を減らせるか、そしてそれが毎月の費用に見合っているかという点です。
たとえば、請求業務や記録の転記に毎月何時間も費やしているなら、その時間を減らせる効果は小さくありません。削減できた時間を職員の人件費に置きかえて考えると、月額の費用以上の価値が生まれることもあります。逆に、もともと事務作業がそれほど多くない場合は、費用に見合う効果が得られないこともあるでしょう。導入前に、今かかっている事務時間をざっと洗い出しておくと、判断の材料になります。
予算内で導入できる費用帯か
グループホームの主な収入である介護報酬は、サービスを提供してから入金されるまでに2か月ほどかかります。そのため、特に開業して間もない時期は、資金のやりくりに苦労しがちです。
システムの費用は、初期費用が無料のものから、月額数千円程度のもの、機能が充実した分だけ高くなるものまでさまざま。利用者の人数や使う端末の台数によって料金が変わるしくみもあります。目先の安さだけで選ぶのではなく、報酬改定にともなうシステムの改修費用なども含めて、数年単位での総額を見積もっておくと安心です。
資金にあまり余裕がないうちは費用を抑えたシステムを選び、経営が安定してから機能の充実したものへ切り替える、という進め方も一つの手です。
現場の人が使えるか
どれだけ高機能なシステムを導入しても、実際に使う職員が使いこなせなければ意味がありません。むしろ操作が複雑すぎると、かえって手間が増えてしまうおそれもあります。
パソコンやタブレットの操作に不慣れな職員でも、直感的に扱えるかどうかは大切なポイント。画面の文字は見やすいか、入力の手順は分かりやすいかなどを確認しておきましょう。多くのシステムには無料のお試し期間やデモンストレーション(実際の操作を体験できるしくみ)が用意されているので、契約前にぜひ活用してみてください。実際に現場の職員に触ってもらい、その感想をもとに選ぶのが、失敗を防ぐいちばん確実な方法です。
失敗しない障害者グループホーム向けシステムの選び方

導入を決めたら、次はどのシステムを選ぶかという段階に入ります。数あるシステムの中から自分たちに合ったものを見つけるために、次の4つの観点でチェックしていきましょう。
- そもそもグループホームの業務に対応したソフトか
- 複数拠点や現場で使いやすいか
- サポート体制はあるか
- 自社に合ったシステムのタイプはなにか
一つずつ解説します。
そもそもグループホームの業務に対応したソフトか
まず確認したいのが、そのソフトがグループホーム(共同生活援助)の業務にきちんと対応しているかどうかです。障害福祉サービスにはさまざまな種類があり、ソフトによって得意とする分野が異なります。福祉向けのソフトは数多くあっても、グループホームに対応するものは意外と限られているのが実情です。
せっかく導入したのに「うちのサービス内容では使えなかった」とならないよう、事前のチェックが欠かせません。グループホームには介護サービス包括型、日中サービス支援型、外部サービス利用型といった運営の形があるので、自分たちの運営形態に合った請求や記録に対応しているかを、しっかり確かめておきましょう。
複数拠点や現場で使いやすいか
日々使うものだからこそ、現場での使いやすさは重要です。特に、スマートフォンやタブレットから記録を入力できるかどうかは、確認しておきたいポイント。その場で記録できれば、わざわざ事業所に戻って入力し直す手間がなくなります。
複数の拠点を運営している、あるいは将来的に増やす予定があるなら、拠点をまたいで情報を一元管理できるかも見ておきましょう。クラウド型のシステムなら、場所を選ばずアクセスできて便利です。また、端末の台数に制限があるかどうかも、事業所の規模によっては大切なチェック項目になります。
サポート体制はあるか
システムに入力するのは、グループホームの運営に欠かせない大切な情報ばかりです。だからこそ、何かトラブルが起きたときにすぐ対応してくれる会社を選ぶと安心できます。
特に、IT(情報技術)に苦手意識のある職員が多い事業所ほど、サポートの手厚さがシステムを使い続けられるかどうかを大きく左右します。導入時にていねいな説明や操作マニュアルがあるか、運用が始まってからの問い合わせに電話やチャットで気軽に対応してくれるか、画面を共有しながら遠隔で操作を助けてくれるかなどを確認しましょう。
サポートの対応時間や、その費用が月額料金に含まれているのかも、あわせて見ておきたいところ。加えて、障害福祉サービスでは定期的に報酬の改定があるため、その都度すみやかにシステムを更新してくれる会社であれば、安心して長く使い続けられます。
自社に合ったシステムタイプはなにか
グループホーム向けのシステムは、得意とする分野によって大きく3つのタイプに分けられます。自分たちが何を効率化したいのかをはっきりさせると、選びやすくなります。
一つ目は、国保連への請求業務に特化した「請求特化型」。請求まわりの手間を減らしたい事業所に向いています。二つ目は、日々の記録や情報共有に重きを置いた「記録特化型」。写真などを活用して、利用者の人となりが伝わる自由度の高い記録を残したい場合にぴったりです。三つ目は、請求から記録、勤怠管理まで幅広くこなせる「オールインワン型」。運営に関わる業務をまとめて効率化したい事業所に適しています。
事務処理の効率を最優先するのか、記録の質を大切にしたいのか、それとも運営全体をまるごと効率化したいのか。事業所が何を重視するかによって、選ぶべきタイプは変わってきます。まずは自分たちの軸をはっきりさせることが、失敗しない選び方の第一歩です。
システムの費用相場は初期費用0〜数十万円・月額数千〜数万円
システムを選ぶうえで気になるのが、やはり費用面です。料金のしくみはサービスによってさまざまですが、おおよその相場感をつかんでおくと、予算を立てやすくなります。ここでは、費用の内訳と料金の決まり方の2つの観点から見ていきましょう。
まず、費用は大きく「初期費用」「月額費用」「サポート費用」の3つに分けられます。それぞれの相場の目安は、次のとおりです。
| 費用項目 | 相場の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円〜数十万円 | 0円のサービスも増えている |
| 月額費用 | 数千円〜数万円/施設 | 機能範囲・課金形態で変動 |
| サポート費用 | 月額に含む場合が多い | 別途有料のケースもある |
初期費用は、導入時に一度だけかかる費用です。以前はまとまった金額が必要なケースも多くありましたが、最近では初期費用が無料のサービスも増えてきました。月額費用は、毎月かかる利用料のこと。搭載されている機能の範囲や、後述する料金のしくみによって幅があります。サポート費用については、月額料金に含まれていることが多いものの、サービスによっては別料金となる場合もあるため、契約前に確認しておくと安心です。
次に注目したいのが、料金がどのように決まるかという「課金形態」です。主に次の3つのパターンがあり、事業所の規模によって割安になるか割高になるかが変わってきます。
| 課金形態 | 費用の決まり方 | 小規模・多店舗での向き |
|---|---|---|
| 施設単位(定額) | 1施設あたり固定 | 職員が増えても定額で読みやすい |
| 職員数単位 | 利用者・職員数に比例 | 人数が少ないと割安、増えると割高 |
| 利用者数単位 | 登録利用者数に比例 | 利用者数の変動で総額が変わる |
施設単位の定額制は、1つの施設につき決まった金額がかかるしくみです。職員が何人増えても料金が変わらないため、費用の見通しが立てやすいのが利点。職員数単位や利用者数単位は、人数に応じて料金が変わるしくみです。人数が少ないうちは割安に使える一方、規模が大きくなるにつれて費用もふくらんでいきます。
どの課金形態が得かは、事業所の規模や今後の方針によって変わります。利用者や職員の人数、拠点を増やす予定があるかどうかなどをふまえて、自分たちにとって無理のない料金のしくみを選びましょう。なお、障害福祉の分野では、ICT(情報通信技術)機器やソフトの導入費用の一部を国や自治体が補助してくれる制度もあります。条件を満たせば初期費用を抑えられる可能性があるので、各システムの会社に補助金が使えるかどうかを問い合わせてみるのもおすすめです。
システム導入の進め方と、つまずきやすいポイント
導入するシステムが決まっても、すぐに契約するのは早計です。失敗を避けるためには、いくつかの手順を踏んで進めることが大切。ここでは、システム導入の流れと、その中でつまずきやすいポイントを紹介します。
- 自施設の課題と必要な機能を洗い出す
- 複数のシステムを比較して候補を絞る
- 無料トライアルやデモで実際に試す
- 自施設に合ったシステムはどれか評価する
順を追って見ていきましょう。
自施設の課題と必要な機能を洗い出す
最初に取り組みたいのが、自分たちの事業所が抱えている課題を整理することです。今どんな業務を行っているのか、その中で特に時間がかかっている作業は何かを、いちど書き出してみましょう。
たとえば、請求業務に毎月多くの時間を取られているのか、記録の転記に手間がかかっているのか、それとも複数拠点の情報管理に苦労しているのか。事業所によって悩みの中身は異なります。支援の時間を圧迫してしまっている業務がどれなのかをはっきりさせることで、本当に必要な機能が見えてきます。この洗い出しをしないまま選んでしまうと、使わない機能にお金を払うことになりかねません。
複数のシステムを比較して候補を絞る
必要な機能がわかったら、それを満たすシステムを複数ピックアップして比べていきます。一つだけを見て決めてしまうのではなく、いくつかを並べて検討することが大切です。
機能の範囲はもちろん、費用やサポート体制、料金のしくみなどを表にまとめて見比べると、それぞれの違いがわかりやすくなります。各システムの会社が用意している資料を取り寄せたり、相談窓口に問い合わせたりして、情報を集めましょう。この段階で、自分たちの条件に合いそうな候補を2〜3つほどに絞っておくと、次のお試しの段階がスムーズに進みます。
無料トライアルやデモで実際に試す
候補が絞れたら、実際に使ってみる段階です。多くのシステムには、一定期間無料で使えるトライアルや、操作を体験できるデモンストレーションが用意されています。資料を見るだけではわからない使い心地を、ここで確かめましょう。
このとき大切なのが、実際に現場で使う職員に触ってもらうことです。導入を決める管理者だけでなく、日々記録を入力する職員の感想こそが、本当に役立つかどうかを見きわめる手がかりになります。可能であれば、自分たちの事業所の実際のデータを使って、請求が最後まで通せるかどうかまで試してみるのが理想的です。
自施設に合ったシステムはどれか評価する
実際に試したら、その結果をもとにどのシステムが自分たちに合っているかを評価します。感覚だけで判断するのではなく、いくつかの観点で整理して比べると、納得のいく選択ができます。
| 評価ポイント | 確認すること |
|---|---|
| 現場の職員が迷わず操作できたか | ITが苦手な世話人でも入力できたか |
| 自施設の請求・加算パターンに対応できたか | 実際の利用者データで請求まで通せたか |
| 既存の業務フローに無理なく組み込めるか | 今のやり方を大きく変えずに使えるか |
| サポートの対応は十分だったか | 試用中の質問にスムーズに回答が得られたか |
| 複数拠点・スタッフで使い回せたか | 拠点間・職員間で情報共有できたか |
こうした観点を一つずつ確認していくことで、それぞれのシステムの強みと弱みが見えてきます。特に、現場の職員がストレスなく使えるか、そして自分たちの請求や加算のパターンにきちんと対応できるかは、見落とせない大切なポイントです。
つまずきやすいのは「現場への浸透」
システム導入で最もつまずきやすいのが、現場への浸透です。せっかく良いシステムを選んでも、職員が使いこなせなければ、宝の持ちぐされになってしまいます。
特に、長年紙やノートでの記録に慣れ親しんできた職員にとって、新しいやり方に切り替えるのは負担に感じられるもの。最初のうちは「これまでのほうが楽だった」という声が上がることも珍しくありません。新しいシステムに移行する時期は、一時的に業務の効率が下がることも見込んでおく必要があります。
スムーズに浸透させるには、なぜシステムを導入するのか、その目的を職員にていねいに伝えることが欠かせません。一度にすべてを切り替えるのではなく、使いやすい機能から少しずつ慣れていく進め方も有効です。困ったときにすぐ相談できるよう、社内に詳しい人を決めておいたり、システム会社のサポートを活用したりするのもよいでしょう。導入はゴールではなく、現場に根づいてはじめて効果が生まれる、という意識を持っておくことが大切です。
自施設に合ったシステム選ぶにはまず無料トライアルから
ここまで、グループホームの業務をシステム化すべき理由から、システムでできること、選び方や費用相場、導入の進め方までを解説してきました。
紙やエクセルでの運用には限界があり、事務作業に追われて肝心の支援に時間を割けない、という悩みは多くの事業所が抱えています。システムを導入すれば、記録から請求までを一つにまとめ、職員の負担を大きく減らせます。複数拠点の情報を一元管理できたり、受給者証やモニタリングの期限を自動で知らせてくれたりと、事業の成長を支える心強い味方になってくれるはずです。
とはいえ、どんなに評判のよいシステムでも、自分たちの事業所に合うかどうかは実際に使ってみないとわかりません。グループホームの運営形態や請求のパターン、現場の職員のITへの慣れ具合は、事業所によってさまざま。だからこそ、資料やうわさだけで決めてしまうのは避けたいところです。
まずは気になるシステムをいくつか選び、無料トライアルやデモから試してみることをおすすめします。実際に現場の職員に触ってもらい、自分たちのデータで請求まで通せるかを確かめることが、失敗しないいちばんの近道です。焦って決める必要はありません。自施設の課題をていねいに見つめ直しながら、職員みんなが納得して使えるシステムを、じっくり選んでいきましょう。
